皆さんは、銀行に対してどんなイメージを持っていますか?

  • 「理知的で、どちらかといえばお堅く、少なくとも利用者を欺くようなことは絶対しない!
  • 「たとえ内容が良くわからなくても、銀行の言う通りにしておけば、まず間違いはないだろう。」

漠然とこんなふうに考えてはいませんか?

それは大きな間違いなんです!銀行といえども、営利企業であることには違いはありません。また、証券会社や保険会社同様、リスク商品も販売しています。決して、銀行だけは聖人君子、という訳ではないのです。

今回は、ある老夫婦が銀行に高額の生命保険を契約させられ、結果的に1円の保険料も受け取れなかった実例をご紹介します。

みなさんも「銀行=いい人」だと思っていたなら、認識を改めるようにしましょう。

目次

入院中の高齢の夫に高額の生命保険を勧誘

入院中の老人男性

ある日、入院中の高齢の夫がいる妻のところに、アポイントも無く銀行の担当者が、上司と一緒に訪ねてきました。

夫名義の高額の銀行預金が満期になった折に、満期になった預金を原資に、高額の生命保険へ加入するよう勧誘してきたのです。

しかし、当時その夫は、余命宣告を受けた程の重い病で入院中。とてもそんな話しを聞ける状況ではないと断ったところ、今度はその担当者と上司が、翌日夫が入院していた病院までやってきて、その場で勧誘された通りの内容で、契約を締結したのです。

余命宣告の夫に保険金を掛ける奇特な銀行?

一般的に生命保険は、たとえ健康であったとしても、高齢者には加入条件が大変厳しくなりますし、ましてや余命宣告を受けて入院中の重病人など、普通は加入できません

もしそんな生命保険を締結したならば、その担当者と上司は会社に損害をもたらしたとして処罰されるのではないか?と思われるような行動です。

しかしながら、そんな奇特な銀行なんて存在はしませんでした。その後、夫が余命宣告通り亡くなり、相続人である妻が保険金を受け取りたいと保険会社に申し出たところ、保険会社からは保険金は出ないと言われてしまったのです。

1円も保険金を受け取れなかった契約した保険の中身とは?

保険の契約

さて、どうして妻は亡くなった夫の保険金を受け取ることができなかったのでしょうか?

実は、

  • 契約者=夫
  • 被保険者(生命保険の対象者)=妻
  • 死亡保険金受取人=夫

となっていたのです。しかも、勧誘した銀行で取り扱っている保険商品の中で、おそらく一番銀行の受取手数料が高いと思われる、外貨建ての生命保険だったのです。

実際の保険契約の内容は寝耳に水

この老夫婦が、この保険を契約してしまった理由。それは、この担当者のしつこさにありました。

入院先に担当者とその上司が訪ねてきて、ほとんど話を理解できない夫に、ややこしく難しい保険商品の説明を行い、なかなか帰ってくれなかったことから、「自分が署名さえすれば早く帰ってくれる」と思い、妻が契約してしまったのです。

そもそも仮に契約者が夫だったとしたら、妻が契約書にサインするという行為自体あり得ないのですが、妻は「銀行が勧めるのだから絶対に間違いはないだろうし、不幸に夫が亡くなっても、少なくとも元本程度の保険金は下りるだろうから問題はない」と思ってしまっていたようです。

しかし、被保険者(生命保険の対象者)が妻では、ご主人が死亡しても保険金がおりる筈もありません。

しかも、円安時に外貨建てで契約していたので、中途解約したら為替差損が発生し、元本割れになる状況でした。

更に、10年間は解約手数料が必要な契約で、これでは実質上10年は解約できない(解約すれば明らかに損)といっても過言ではなかったのです。

妻にとって、夫に代わって保険金受取人に指定すべき子どももいないのに、自分が亡くならなければ保険金はおりず、おまけに実質10年は解約できないなどという話しは、全く寝耳に水のようでした。

誰のための保険契約だったのか?

そもそも重病人の夫にお勧めする商品とはとても思えませんし、ましてや妻に勧められる内容などではあり得ません。

相続税対策としても、配偶者の税額軽減の特例を活用できるので、そもそも相続税そのものが発生しなかったのです。

第三者の視点からは、こんな契約を締結する必要は全くありませんでした。困り果ててしまった妻自身、早く銀行の担当者に帰って欲しくて、内容も良く理解しないままサインした自分が悪い。銀行に対してなんの疑問も持たず、妄信した自分が悪い。と悔んだものの、既にあとの祭りの状態だったのです。

銀行も営利企業の一つであることを改めて認識しよう!

悪徳営業マン

今回ご紹介した、事例にかかわらず、最近「身内が金融機関から、不要な保険や投資信託を契約させられた」という話しが多くあります。

例外なくそれは、「だまされた」とか、「優越的地位の濫用だった」などのニュアンスが含まれているように聞こえます。

確かに、金融機関自身の手数料のために、高齢者にリスク商品を勧める姿勢には疑問を覚えます。法律に抵触さえしなければ、何をしても良いというスタンスは如何なものでしょうか。

金融機関だけをを悪者にするのは筋違い

反面、「銀行」といったブランドを妄信し、金融機関の言うがままに行動する側にも、問題がない訳ではありません

疑問に思うのなら、契約しなければ良いだけですし、不安だったら、信頼できる第三者に相談してから、手続きをすれば良いだけ、ということも事実です。

金融機関の実態を知らなかった無知を理由に、金融機関だけをを悪者にするのは筋違いでもあるのです。

「銀行も営利企業!高額保険を契約させられ、1円も受け取れなかった老夫婦の話。」まとめ

高額生命保険に驚くシニアカップル

いくら「顧客サービス」と言っても、自分達に何もメリットがなかったとしたら、営利企業が積極的に動く訳がありません。

金融機関といえども、営利企業に過ぎないことを、改めてしっかり意識しておきましょう。

「銀行が勧めてくれた商品だから・・・」というような形で安易に信頼してしまうのは非常に危険です!

「怪しい・・・」と少しでも感じたりしたら、周りの人などに相談してから判断するようにしましょう。

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