収録中にブチギレて帰った件を受けて、いろんな方から、「『意識高い系ですかぁ?』『プペル、高いですよねぇ~』『ていうか、返し、普通ですね』とか言われたら、そりゃ怒っちゃいますよねぇ」という声をかけていただきます。

お気遣いいただき、ありがたいのですが、
ここで、キチンと整理しておきたいのは、
「何を言ったか」が問題ではなくて、
「誰が言ったか」が問題だということ。


ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、僕がバラエティー番組に出るときは、基本、集中放火を浴びます。
1d9464db1455ffb53506d5b141beba7b.jpg
TCKCj.jpg
近年はタコ殴りにならなかったことがありません。
洋服をイジられることも、うまく返せなかったことをイジられることも日常茶飯事です。
プペルの紹介で値段を発表した時に、「高っ!」と梶原が隣で叫ぶギャグは定番となっております。
猛烈なイジリをブチ込まれるどころか、お尻の穴に指をブチ込まれることもあります。
Z2fjo4BwQN.jpg
先日のインタビュー以上のイジリは、普段から浴びています。

ただ、芸人さんのイジリの下地には、いつも"信頼関係"があります。
表層だけ切り取ると、乱暴な言葉(指)を浴びせているように見えますが、その裏では「一緒に面白くしようね」と握手を交わしています。

イジリとイジメの境界線は、言葉の強弱ではなく、「そこに信頼関係があるか、ないか」で、
部室に、信頼関係が築けていない後輩を呼び出して、皆の前でパンツを脱がせて、「イジってやってんだから、ちゃんとリアクションをとれよ」というのは"イジメ"です。

僕は16年間、芸人をやっていますが、芸人仲間からイジられたことはあっても、イジメられたことは一度もありません。
いつも、そこには信頼関係があるからです。

ラエティーはイジメを助長している」と叫ばれているだけに、テレビの作り手はイジリとイジメの境界線をハッキリとさせて、「イジメには絶対に参加しない」という意思を表明しておく必要があると僕は考えます。

先日のインタビューで、面識も何もない、信頼関係も何もないディレクターさんから受けたアレやコレ。
「イジリ」だと思っているのはディレクターさん御本人だけで、実態は「イジメ」そのもの。

そんなものをテレビの電波を使って流すわけにはいきませんし、それを『お笑い』として届けるわけにはいきません。
さらには、収録現場にはチビッ子がたくさんいましたので、そのチビッ子達に見せるわけにもいきません。
ずっと笑顔でやり過ごしていたのですが、これ以上続けることは不可能だと判断し、つとめて静かに帰らせていただきました。
そして現場にいたお客様に謝罪させていただきました。

芸人なので、イジリは徹底的に受けますが、イジメには絶対に参加しません。
ごらんの通り、誰が何を言おうが僕はムカついたら帰りますが、新人の芸人さんやタレントさんはそうはいきません。
テレビの仕事も減るでしょうし、「仕事を放棄するなんて最低だ!」という世間の声もあります。

なので、今回のように"制作側だけが「イジリ」だと思っているイジメ"に参加しなければならない場合もあります。
そして、それが電波を使って流れ、その放送を見た子供らが「あれはイジリなのだ」と判断し、イジメが始まるケースがあります。

なかなか根深い問題だと思います。

相手をイジる時は、イジる自分とイジられる相手との間に信頼関係があるのか無いのかの再確認が必要ですね。