「一度社会人になったら、もう“一生”長期休暇はとれない」
それが日本で働くサラリーマンにとってはほとんど常識になりつつある。
(Photo by Farzad Nazifi)
「日本人は生産性が悪い」
始業時間前に出社。平日は夜遅くまで残業。さらには、夜も休日も絶え間なくメール対応しなくてはならない。それにも関わらず、日本人一人当たりのGDPは世界27位。先進国で最低の生産性レベルだ。なぜ私たち日本人は、こんなにも身を粉にして働いているにも関わらず、生産性が低いのか?その原因を、ついにGoogleが突き止めた。
日本人が有給を取れない理由は、「上司がとらないと有給をとりづらい」という文化的な理由の他に、「仕事が終わらないので、休みが取れない」という理由がある。また、その「仕事が終わらない理由」の一つとして考えられるのが「一人当たりの生産性が低い」ということが原因なのだ。実際、日本人の生産性の低さはGDPの順位にも表れている。
(Photo by Tim Stahmer)
朝7時出勤、午後3時退社。
逆の例に経済大国であるドイツをとる。まず、ドイツでは法律的に24日間の有給休暇を義務付けている。しかし、ほとんどの会社はそれに6日加えた30日間の有給を設定しているそう。仕事をそもそも好まない民族のため、いかに短時間で仕事を終わらせ、生産性を高めるかを重視する。経済協力開発機構(OECD)によれば、2012年に発表されたドイツ人の生産性は1時間の労働あたり約6000円(58.3ドル)であった。その反面、日本人はたったの約4000円(40.1ドル)。
これは1時間ですでに2000円も差があることを示しており、それは休んでいる日数が多いドイツ人のほうが生産性が高いということは、ドイツ人の効率の高さを表しているのではないか。この結果からもいかに労働時間の長い日本人の生産性が国際的にみても悪いのかがわかり、それが国民的に有給休暇が少ないことへと繋がっていることがわかる。つまり、生産性と有給休暇は連動しているのである。
Googleが見つけた「生産性の高いチーム」の要素とは
この生産性をあげるための方法をついにGoogleがつきとめた。Googleは、2012年から「プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)」と呼ばれるプロジェクトを開始。同社の「人員分析部(People Analytics Operation)」を使用し、「生産性の高いチーム」に関するリサーチを始めた。
幾度となる繰り返された分析の結果、唯一ある種のパターンとして浮かび上がってきたのは「働き方」に関するものではなく、むしろ「成功の法則性」に関するものだった。つまり成功するチームは何をやっても成功し、失敗するチームは何をやっても失敗する。そのようなパターンであった。そのパターンとは、「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」。この要素が非常に上手くいっているチームこそが「成功するグループ(チーム)」のパターンだったというのだ。「こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安を、チームのメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全性(psychological safety)」と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵なのだそうだ。
日本企業もこのような心理的安全を各社員、そして各チームに確保することができれば、飛躍的に生産性は上がるだろう。このGoogleによって発見された成功パターンを多くの日本企業が受け入れることができたときには、それが日本のサラリーマンたちの有給休暇に直接影響し、近い将来には有給とり放題になる日が訪れるかもしれない。
(Photo by Cody Geary)
ーBe inspired!
いいね!しよう