通信教育大手のベネッセコーポレーションは2017年3月8日、実施協力をした大脳生理学を専門に研究する東京大学・池谷裕二教授の「勉強時間による学習の定着・集中力に関する実証実験」の結果を報告した。
その結果、「長時間学習」よりも、短時間で集中して行う「積み上げ型学習」の方が、学習効果が「高い」という驚きの結果がわかった。
実験は、中学1年生29名を対象に実施。実験内容は、(1)英単語の事前テストをもとに、学力が均等になるよう「60分学習」(60分×1)、「45分学習」(45分×1)、「15分×3(計45分)学習」(15分×3、7.5分休憩×2回)の3つのグループに分ける、(2)グループごとに英単語を暗記、(3)実験の「当日」「翌日」「1週間後」に、暗記した英単語の習熟度を測る事後テストを実施――の3つだ。
事後テストの結果、実験「当日」は、「60分学習」グループの点数が一番高かったものの、「翌日」「1週間後」には、「15分×3(計45分)学習」グループのスコアが最も高かった。このことから、学習の合間の「休憩」が学習の定着に効果的だといえる。
さらに脳波計を用い、実験中の脳波を測定すると、集中力と関係する前頭葉の「ガンマ波」が約40分後に急激に低下していた。「15分×3(計45分)学習」グループは、こまめに休憩をはさむことでガンマ波を回復させ、集中力を維持していたことも明らかになった。
池谷教授は実験をまとめた論文の中で、「今回の実験は小規模調査のため、統計学的な有意差を得るためには今後更なる大規模な実験を行う必要があります」と前置きしつつも、
「休憩を挟むことは集中力の維持に寄与し、より少ない学習時間にも関わらず長期的に見て高い学習効果を発揮する可能性が示唆されます」
と統括した。
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