フェイスブックのザッカーバーグCEO、退学したハーバード大卒業式で演説
米フェイスブックの創業者で最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏(33)は25日、母校のハーバード大学に戻り、雨天のなか開かれた卒業式で演説し、名誉博士号を受け取った。
保有資産が623億ドル(約7兆円)に上る、世界で5番目に裕福なザッカーバーグ氏が、世界的なソーシャル・ネットワーク・サイト「フェイスブック」を設立した後にハーバード大学を退学したのは有名な話だ。
ザッカーバーグ氏は演説で、「新たな雇用を創出するだけでなく、新しい目的意識を創造する」よう学生たちに呼びかけた。
政治の専門家らは、ザッカーバーグ氏が公職選挙に出馬する準備をしているのではないかとみている。
25日の演説でザッカーバーグ氏は、「我々は今、不安定な時代を生きている」と語った。
同氏は、グローバル化が進むなかで、取り残されたと感じている人たちを「内に向かわせる圧力が存在している」と述べた。
「これは現代の苦難だ。自由と寛容性、国際社会の力と、独裁主義、孤立主義、愛国主義の力が対抗し合っている」
フェイスブックを創業した寮の建物を指差し、妻のプリシラ氏とそこで出会ったのは、自分の大学生活で最高の出来事だったと振り返った。プリシラ氏はこの日、聴衆として列席した。
ハーバード大学の第366回卒業式での演説に先立ち、ザッカーバーグ氏は名誉法学博士号を授与された。
ザッカーバーグ氏は24日、かつて暮らしていた寮の部屋からフェイスブック・ライブを配信した。
今夏に改修が予定されているカークランド・ハウスで同氏は、部屋に置かれた小さな木製机と椅子を指差し、「ここがまさに私が座っていたところだ」と語った。
「ここで小さなラップトップを持っていた。そしてここが、フェイスブックのプログラムを組んだ場所だ」
ザッカーバーグ氏は演説の中で、「私がこの大学を離れて10年後に何十億ドルを稼げる一方で、多くの学生が奨学金の返済はおろか起業さえできない状況なら、社会の仕組みの何かが間違っているということだ」と述べた。
「自分のアイデアを歴史的な事業に変える自由がないのなら、私たちみんなの損失になる」
ザッカーバーグ氏はさらに、「何か取り組むことさえあれば違う人生になっていたのに、と話してくれた、少年拘置所の子供たちやオピオイド中毒の人たち」に会ったと話した。
ザッカーバーグ氏は、不法移民であるために大学に入学できないのではと恐れる高校生の話をした際には、言葉に詰まったように見受けられた時もあった。
毎日19億人以上がフェイスブックを開いている。
フェイスブックは2004年のサービス開始以来、ツイッターやスナップチャット、インスタグラムなど多くの競合他社のソーシャル・メディアを刺激し続けてきた。
2007年には、ハーバード大学を退学したもう一人の人物が、名誉学位を受け取っている。
世界最大のソフトウェア会社マイクロソフトを創業したビル・ゲイツ氏は、慈善活動に集中するため経営の一線から退いて間もなく、同大学で演説した。
(英語記事 Mark Zuckerberg gets honorary Harvard degree after dropping out)