中国のネットショッピング市場規模は世界でダントツ――米コンサルティング企業のBoston Consulting Group(BCG)が中国ネットショッピング最大手のAlibabaに提出したレポートが、興味深い内容になっている。
中国国家統計局の発表では、2016年に中国国内の個人向けネットショッピングの市場規模は、約5兆1000億元(約82兆5000億円)に達した。これは日本国内の約15兆1000億円をはるかに上回り、米国市場(約44兆6000億円)と英国市場(約18兆8000億円)の合計(約78兆5000億円)さえ超えている。もちろんその時点において世界一だ。
レポートでは急成長の大きな要因として、もともと物流が発達していなかった中国の小売市場に、ネットショッピングが適合したことを挙げている。さらに、中国人に可処分所得の増大と消費の増加がおとずれたのと同時に、デジタル革命が進行したことも影響しているとみる。
モバイル商取引では、中国は先進国だ。多くの消費者が、PCをスキップしてスマートフォンを利用するようになっている。同社の予測では、2020年までに米国ではネットショッピングの46%がモバイル経由になるのに対し、中国では74%に達するとしている。
ネットショッピング市場は世界的に、少なくとも今後5年間にわたって拡大していくと予測。中でも中国は年率20%と、米国や英国の約2倍の成長率を見込んでいる。これは1人当たりの消費額が伸びることよりも、まだオンライン状態になっていない地方都市や農村部の数億人がネットに流入することによるものだという。
中国では、ネットショッピングは単なる「取引」以上のものだと、同レポートは指摘している。それはエンターテインメントであり、友人であり、ネット有名人と関わる手段でもある。人々は、ネットショッピングに時間を費やし、お金を費やす。中国の消費者は、Alibabaのスマートフォンアプリに、1日平均30分滞在しているという。中国のWeb空間では、ニュースサイト、ゲーム、ビデオ、そしてショッピングサイトが相互接続され、統合環境で人々は快適に買い物をする。さらに現在は、スマートフォンで1つのアプリを起動するだけで、ソーシャルメディアとショッピングとエンターテインメントが提供されるようになりつつあるという。日本でも注目したい流れだ。
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