ネットで拡散される過激思想 メイ英首相が対策訴えへ

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テリーザ・メイ英首相は、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)との戦いは「戦地からインターネットに移った」と指摘し、ネット上で拡散される過激思想への対策をより強力に進めるべきだと、世界の主要国首脳に訴える考えだ。

イタリア南部シチリア島タオルミナで26日に開幕する先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)に出席するメイ首相は、ネット上の過激な内容への対応を強化するよう、テクノロジー企業への圧力を強めるべきだと述べる予定。メイ首相は問題のある内容は当局に報告されるべきだと考えている。

一方、野党・労働党のジェレミー・コービン党首は来月8日の総選挙に向けてロンドンで行う演説で、「テロとの戦い」はうまくいっていないと指摘する見通し。

英マンチェスターで22日夜に起きた自爆攻撃で22人が死亡したことを受けて、いったん停止されていた選挙運動が再開されるのに伴い、コービン氏は演説で、海外の戦争が「国内のテロ」と関係していると述べる。

メイ首相は、G7で議長を務める予定のテロ対策をめぐる会合で、ネット上で広がる過激思想に焦点を当てる。

首相官邸前で記者団の取材を受けたメイ首相は、「テロ攻撃を計画するオンラインの動きや、ソーシャルメディアでの憎しみに満ちた過激主義の拡散を防止するため、どのような協力をすべきか」議論を主導したいと述べた。

メイ首相はさらに、G7や北大西洋条約機構(NATO)の枠組みが「テロの悪を打ち負かすための、より緊密な協力を可能にしている」と語った。

ISが支配地域を縮小させるなかでも、脅威は「消滅しているというより、変化して」おり、テクノロジー業界はネット上の有害な内容を除外する対策を強化する「社会的な責任」があると、メイ首相はG7で訴える考えだ。

メイ首相はまた、危険が察知された際の対応の仕方を考える国際的な場の開設や、有害な投稿を、内容や投稿者を元に自動的に発見し削除する技術の開発を企業に求める。

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Image caption 自爆攻撃が起きたマンチェスターの街中で警戒を続ける警官

BBCのジョン・ピエナー政治担当副編集長は、いったん停止されていた選挙運動が再び始まれば、コービン党首の外交政策に関する演説や、警官の削減や政府のテロ防止戦略をめぐる賛否など、さまざななことが議論されるだろうと指摘した。

BBCの番組「クエスチョン・タイム」に出演したアンバー・ラッド内相は、労働党が批判する警官削減に反論し、「警官がもっといたならテロ行為は起きなかったなどと言うべきではない」と述べた。「街中にいる警官の単なる人数が問題なのではない。巡回よりも、地域社会のリーダーたちとの関係構築の方が重要だ」。

コービン党首は、労働党が総選挙で勝利した場合には「内政を変え外交を変える」と訴える。コービン氏は演説で「多くの専門家らは(中略)我が国の政府が支援または参加した海外の戦争と国内のテロとの関連を指摘している」と述べる予定。

「この指摘は、我々の子供たちを攻撃する者の罪を軽くするわけではない。テロリストたちは永遠に非難され、自分たちの行為の責任を取らされる。しかし、テロの原因のきちんとした情報に基づく理解は、国民を安全を守り、テロを誘発するのではなくテロと戦う上での、有効な対応の不可欠な部分だ」

(英語記事 Theresa May: Online extremism 'must be tackled'

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