もう知る人ぞ知る奇才になってしまったが、『ウルトラマン』『怪奇大作戦』などで異彩を放った監督がいた。
庵野さんなどに大きな影響を(DAICON版『帰ってきたウルトラマン』)与えた人だ。
とにかく物凄いトリッキーな演出をあれこれとして見せた。
「京都買います」などは実相寺美学の集大成とも言われ、学生時代の僕らは夢中で観て、語り合った。
その実相寺監督が、我らが御大、朝比奈隆と知遇を得て、彼のコンサートを映像化するようになった。
そりゃもう凄いことになっているはずだ!と早速取り寄せ、オタク仲間と観てみた。
あれ?普通だ・・・。
朝比奈隆=実相寺昭雄によるベートーヴェン全集、ブラームス全集、ブルックナー選集、どれも持っているが、どれも普通だ!
そんな筈はない!とんでもない御大のどアップとか意味不明のシルエットとか、どこを見ていいか解らないナメ構図とかがないと、実相寺じゃないやい!
でもあくまで推測だが、愚直にまで楽譜に忠実、演奏に余計な色を付けようとしない御大の姿勢に敬意を表して、敢えて何もしなかったのかもね。
僕も自然にやろう。アニメももう100年を迎えたのだから、俺は新しい、新しいことができる!と思い込むのは大間違いだ。