世界銀行の主席エコノミスト、ポール・ローマー氏が部下の反発を受けて管理職を解かれた。同氏は部下の研究員らにもっと明確なコミュニケーションを目指すよう指示、書き言葉ではリポートの記述を含め、接続詞「and」の使用を制限するなどした。

  ブルームバーグが入手した世銀職員向けの内部資料によると、ローマー氏は世銀の研究部門である開発経済総局(DEC)の管理職を外された。後任には世銀グループの国際復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA)で共に最高経営責任者(CEO)を務めるクリスタリナ・ゲオルギエバ氏が7月1日付で就任する。

  ローマー氏は主席エコノミスト職にはとどまる。インタビューで同氏は、スタッフのコミュニケーション方法を改善しようとしたが、抵抗に遭ったと説明。「コミュニケーションの正確さを重視し過ぎて、自分のメッセージが引き起こすであろう感情面に十分配慮できていなかったかもしれない」と語った。

  世銀の主席エコノミストはフィッシャー現米連邦準備制度理事会(FRB)副議長やサマーズ元米財務長官ら大物が歴任しており、そのポジションにいる人物がDECの責任者とならないのは異例。

  ニューヨーク大学教授を休職して昨年10月に世銀主席エコノミストに就いたローマー氏(61)は就任後、幾つかのポジションが余剰だと指摘し、上級職の一部に任期制限を導入。事情に詳しい関係者によれば、同氏は電子メールの文章をより短くし、プレゼンテーションでは本論にすぐ入るよう主張したほか、スタッフの話が長ければ途中でさえぎることもあった。

  事情に詳しい関係者2人によると、研究員らはローマー氏が自身のメッセージを伝える際のしばしばぶっきらぼうな態度を嫌がったほか、電子メールをとげとげしく感じ、スタッフの話をよく聞いていないと思っていた。接続詞「and」の使用を嫌うなど、同氏の文章スタイルへのこだわりにも当惑したという。

  一方、ローマー氏は部下のエコノミストらの自己防衛的な姿勢に驚かされたと発言し、「自分にはよく分からない強迫観念を反映している」と語った。今後は主席エコノミストとしての仕事で知的活動により多くの時間を充てられるとも話した。
 
原題:War Over Words Erupts as World Bank Star Economist Sidelined (1)(抜粋)

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