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イタリア映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」 イタリア人監督が日本アニメ、しかも70年代の「鋼鉄ジーグ」を選んだワケ
聞きたい!映画更新日本で1975年から76年にかけてテレビで放送されたロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」をモチーフにしたイタリア映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」が5月20日から全国で順次公開される。伊では大ヒットを記録した。しかし、なぜ、日本でそれほどメジャーとはいえないジーグなのか? 日本アニメをこよなく愛するガブリエーレ・マイネッティ監督(40)に聞いた。
伊の子供はジーグで正義を学んだ
本作は、ふとしたきっかけで超能力を得たローマのチンピラ青年、エンツォが、「鋼鉄ジーグ」マニアの女性、アレッシアにさとされ、正義のために立ち上がる-という物語だ。
決してジーグの実写化作品ではないうえ、ロボットなども登場しないが、ジーグへの熱い思いは伝わってくる内容だ。
漫画家、永井豪さんらが原作の「鋼鉄ジーグ」は、日本の古代史がモチーフという、やや奇抜なロボットアニメ。サイボーグの主人公、司馬宙(しば・ひろし)が鋼鉄ジーグとなり、古代からの侵略者、女王ヒミカや手下のハニワ幻人(げんじん)と戦う。
実はジーグは伊でも79年に放送され、彼の地の子供たちに熱狂的に受け入れられた。マイネッティ監督は、「5、6歳の頃に見て夢中になった。ちょっと非モラル的で暴力的な内容がハートをつかんだし、ヒミカは本当に恐ろしかった」と語る。
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伊では、ジーグに加え「マジンガーZ」「UFOロボ・グレンダイザー」といういずれも日本製アニメが、今なお“3大ロボットアニメ”として不動の人気を誇っており、「中でもジーグは特別な思いで受け止められている」とマイネッティ監督はいう。
その理由の1つが、主題歌だ。
「日本と同じメロディーだが、歌詞は全然違う“崇高”な内容なんだ」
♪走れ若者よ 彼方へ 飛べ 青の稲妻を抜けて すべての人々を 人類を助けに-。マイネッティ監督が、身を揺らしながら口ずさんでみせる。もちろん伊語でだ。伊での放送に合わせて独自につけられた歌詞だ。
「子供たちは、この歌から正義を学んだ。格調高い歌詞なのに、曲は70年代のディスコ音楽風なので、みんなが大好き。伊で現在放送している社会の不正を告発するドキュメンタリー番組でも、ジーグの歌が使われているくらいだ」
本作のエンディングテーマは、この主題歌をバラード調にしたもの。歌うのは主演のクラウディオ・サンタマリアで、なんとマイネッティ監督もギターで参加している。