私たちが日ごろ広告などで頻繁に目にするように、カードローンには実に多くの種類があります。今回はそのなかでも珍しい「軍用地カードローン」「軍用地ローン」について紹介します。
私たちが日ごろ広告などで頻繁に目にするように、カードローンには実に多くの種類があります。今回はそのなかでも珍しい「軍用地カードローン」「軍用地ローン」について紹介します。
「軍用地」という言葉は、あまり聞きなれない言葉だと思いますが、沖縄県内に住む人々にとっては、聞き慣れた言葉であるそうです。では、「軍用地」とは何でしょうか。簡単に言うと、軍用地とは沖縄にある米軍基地や、自衛隊基地のことを指します。
しかし、軍用地で問題となるのが、ほとんどが個人の土地である点です。つまり、国が個人の土地をほぼ強制的に使用しているのです。
もちろん国は、軍用地として国に貸している地主に対し「借地料」を支払っています。沖縄県全体で年間約900億円を国が地主さん達に支払っており、沖縄県だけで、年間約900億の借地料が、地主へ支払われています。毎年8月前後に前払いされるそうです。
沖縄県の経済を支える側面
「沖縄」「軍用地」と聞くと、どうしても沖縄の基地問題が浮かびます。最近では、米軍再編に伴う米軍基地移転など、デリケートな問題として扱われます。
実は、軍用地は売ることも買うことも可能です。沖縄では軍用地は安定した投資物件として人気を得ており、不動産屋を通じて売買もされています。
借主が政府である点や国からの借地料が年々上昇している点など、通常のマンションや建売物件などと比較しても安定した収益が見込めることから、投資物件として非常に魅力があることが分かります。
特に沖縄の不動産会社のホームページのほとんどには、軍用地の売買に関するコーナーが設けらており、売買契約が盛んに行われている様子が垣間見えます。
軍用地には国の借地権が付いているために固定資産税が非常に安いうえに、相続税にも有利な点もメリットのひとつです。
また、アパートやマンションなど、通常の投資用物件を購入した場合、外壁塗装や水回りの修繕など、老朽化に伴い様々な修繕が必要になりますが、軍用地の借地料はアパート経営と異なり維持費が掛からない点も魅力のひとつです。
軍用地を所有するメリット
「相続税が払えずに土地を売った」という話はよく聞きます。「先祖からの土地は守れない」と言わんばかりに、一般的に親から受け継いだ不動産は、その相続税の高さからやむを得ず売却されてしまうケースが多いものです。
しかし沖縄における軍用地は、通常の不動産とは異なりその相続税は非常に安く、相続税のために売却するというケースは少ないです。軍用地は親から子へと、借地料という収益源も同時に引き継がれていきます。
最近では不動産投資ブームの影響か、活発に軍用地が売買されています。若い世代は安定した借地料よりも、軍用地を活用して更なる投資を試みるという訳です。
それにも納得できる理由があり、それは年々上昇する借地料です。この借地料で新たな土地を購入したり、後述する「軍用地ローン」の担保として資金調達することも可能です。所有する面積にもよりますが「借地料で生活する」ことに執着がない世代への交代が進んでいることが伺えます。
軍用地の価格 = 年間借地料 × 倍数
年間借地料
⇒ 土地賃借料算定調書記載の面積 × 単価
倍数
⇒ 返還の見込みが少ない地域ほど高くなる
現地確認NG
軍用地という性質上、現地に直接行き確認することが出来ないので、物件を確認するには、航空写真などの地図や「土地借地料算定調書」、法務局で入手する登記簿謄本を見る方法しかありません。
前述のとおり、借地料は年々上昇していることから、所有しているだけでインカムゲインの恩恵を受け続けられます。
定期預金金利の全国平均が0.05%を下回るなか、軍用地の借地料を利息換算した場合の利率は3%~4%代が相場です。さらに借地料は毎年1%を超える相場で上昇している分、軍用地を購入するメリットは定期預金の比ではありません。
軍用地は確かに「土地」という不動産であることには間違いありませんが、その取引実態としては、「金融商品」に近いものがあります。おそらく沖縄の人はそういった認識が一般的かと思われます。
実際に、一般の土地であれば担保評価は「路線価格」や「評価額」で算出します。しかし軍用地の場合は「借地料」の倍率で評価し、返還率の低い土地から「特A地域~C地域」というように「基地別」にランク付けされています。ちなみに「嘉手納飛行場」は「特A地域」に指定されいます。
返還が予定されている軍用地は「返還後にどれくらいの資産価値があるのか」という点が、投資対象にするかどうかの判断基準となります。返還される予定があるということは、返還後は国からの借地料収入が見込めないということになります。
もともと借地料収入を目的として購入するケースが大半を占めるなか、返還予定の軍用地を購入するメリットはどこにあるのでしょうか。
最近では法改正され、普天間飛行場など返還予定の軍用地は返還後、国策によって区画整理されるので、その土地に建築確認がおりるまでの間は借地料が保証されるようになりました。保証期間が終わったあとに売買や賃貸をする場合は通常の不動産と同じく市場価格となります。
軍用地のなかで、一般的によく知られている返還予定地を3つご紹介します。
那覇港湾施設
在日米軍基地として管理されている土地です。南側には陸上自衛隊の那覇駐屯地もあります。立地が好条件であることから返還後の収益も見込めるうえ、全面返還に向けて進められているとされています。
一方で、10数年以上も進展がみられず、購入後もしばらくは国からの借地料収入も見込める点から、返還予定地のなかでも人気の土地です。倍率も低く、数年値上がりがが続いています。
牧港補給基地
通称「キャンプキンザー」として有名で、沖縄本島中南部の西海岸に立地し、アメリカ海兵隊の基地として使わています。
年間45億円を超える借地料が発生しており、敷地の約90%が私有地となっています。返還される可能性が現実的となっているなか、跡地としての利用価値が高いため、買い手が増えてきています。
普天間飛行場
移設問題も関係するデリケートな土地です。法改正後の借地料保証対象となっており、返還の見込みがもっとも現実的な土地のひとつです。
沖縄の人々にとって軍用地は収益源であると述べました。これらの土地を担保にしてお金を借りることもできる訳ですが、沖縄の各銀行は専用の「軍用地ローン」という商品を展開しています。
通称「おきぎん」として沖縄ではメジャーな地方銀行で、琉球銀行と毎年交互に沖縄県の指定金融機関として指名を受けています。
他の銀行と比べて個人向けローン商品の種類が非常に多い点が特徴的です。なかでも「軍用地ローン」が目を引きます。
沖縄銀行の個人向け融資
沖縄銀行が提供する軍用地ローン(および軍用地カードローン)の詳細を説明します。
用途 | 開業資金、事業運転資金、あらたな軍用地購入資金など自由。 |
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対象 | 軍用地主、「軍用地ローン」により軍用地主となる方、県内在住の方。 |
融資金額 | 最大2億円以内かつ年間地料の所定倍率以内※所定倍率は施設により10倍~30倍以内、 |
融資形式 | 証書貸付方式 |
連帯保証人 | 原則として不要 |
担保 | 融資対象となる当該軍用地に根抵当権を設定 |
最も目を引く特徴は、対象者として「軍用地の所有者、またはこの"軍用地ローンにより軍用地主となる人"」とされている点です。
つまり、土地を買うための資金を融資してもらえるという、バブル期の不動産投資に似た条件となっています。投資目的に金融機関が個人へ融資をするとバブルが生じると言われるように、軍用地はゆるやかなバブル状態にあるのかも知れません。
また、金利は融資額により変動し、3.375%~4.975%の範囲内で所定の金利となっています。
沖縄銀行の軍用地ローンには「軍用地ローン」と「枠々軍用地ローン」とがあり、後者はカードローン法式で前者は証書貸付法式となっており、「枠々軍用地ローン」の方が比較的手軽な商品として扱われているようです。
沖縄銀行と並んで地域の金融機関として利用されている琉球銀行でも、同じく「軍用地主ローン」という商品を展開しています。
対象者も、既存の軍用地主および新規で軍用地を取得する個人とされいます。融資額の最高額は「年間借地料所定倍率の範囲内で2億円」と沖縄銀行の「軍用地ローン」と商品内容が非常に似ています。
コザ信用金庫でも軍用地を担保として融資を受けられる「軍用地カードローン」を展開しています。
軍用地カードローンの対象者条件
対象者は上記の通りで、軍用地借地料の振込先としてコザ信用金庫を指定していることが条件となっている点が他の金融機関の軍用地ローンと異なります。
貸越限度額は100万円~1億円の範囲です。沖縄銀行の証書貸付による最大の限度額が2億円であることと比較すると、慎重な融資方針が存在している可能性があります。
軍用地主となっている沖縄県民のために、沖縄の各市町村ごとに「地主会」というものが存在しています。
そしてその全エリアが集まったものが「軍用地主連合会」で通称「土地連」と呼ばれています。この地主会は「軍用地に関する問題解決、地主の財産保護及び福利厚生増進」を活動内容としています。
こういった機関が必要となる背景として、現在の地主の大半が高齢者であり、複雑に変化していく不動産の契約や借地料の受取に関する手続きなどをサポートする役割があります。この沖縄県内各地の地主会で構成される「軍用地主会連合会」にも派閥があるようです。
2015年6月に開催された軍用地等地主会連合会の定時会員総会で、加盟していた「嘉手納町軍用地等地主会」が「土地連」を退会したというニュースがありました。発足以降「土地連」から市町村の地主会が退会するのは初めてとのことで、背景として借地料の格差があると言われています。
国からの借地料は「同一施設同一単価」とされており、立地や返還予定の有無などにより格差が生じることは必然です。「土地連」の活動内容には「各種会議を開催し、会員や地主の声・思いを集約し、要請行動等に反映させる→会員の意思統一」とあります。
しかし、借地料単価が高い他の市町村地主会と同じ立場を主張するには無理があるのでしょう。
軍用地の所有者は、その地域の「軍用地主会」に加入することが実質的に義務付けられ、借地料の請求や毎年の値上げ交渉などを代行してもらうという「委任契約」を結ぶことになります。
ジャーナリストの大清水友明によると、沖縄では、中国資本による軍用地買占めの噂は昔からよく聞く話であるそうです。
大清水氏は、とある雑誌媒体にて「沖縄防衛局の限られた職員による極秘の調査で、中国資本により買収された可能性がある軍用地が多数存在している」旨の記事を掲載しています。
あまり関係がよくないとされる中国が関係するニュースであるが故にその真偽については賛否両論あるようです。しかし、外国資本が軍用地を購入することを制限する法律はなく、基本的には誰でも購入が可能であることは確かです。もちろん、投資目的で購入する富裕層の割合が圧倒的に高いでしょう。
更新日:2017/05/26
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