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送料を無料にするためにムダな買い物をしていませんか?

送料を無料にするためにムダな買い物をしていませんか?

Amazon を利用しているが、プライム会員ではないという人に朗報です。米Amazonがまた、送料無料の最低購入金額を引き下げました。今年初めに、49ドルから35ドルに下げたばかりですが、このほど、さらに25ドルまで引き下げたのです(Amazon.co.jpは2000円)。Walmartに追いつけ追い越せということらしいですが、今日は、これが消費者のあなたにどう影響するかを考えてみたいと思います。

送料無料合戦で互いにしのぎを削ってきたWalmartと Amazonですが、去る1月にWalmartが最低金額を35 ドルに下げると発表すると、Amazonは、それに合わせただけでなく、さらに一歩先んじる決断をしました。

対象商品の注文金額が25ドル以上なら、配送料が無料になります。詳細ページに「送料無料」と記されたAmazonが発送する商品ならば、対象商品として数えられます。

プライム会員になっている人は、会員登録を考え直したくなるかもしれませんね。Amazonプライムは、音楽やビデオ配信など、多様な優れた特典を提供していますが、やはり一番の目玉は無料の配送特典でしょう。しかし今回、非会員でも容易に送料が無料になるようになり、プライム会員になることでどれだけの送料が節約できるかという計算が変わってくるのです。つまり、毎回の注文金額が自然と25ドルを超える人ならば、プライム会員になる意味が薄れるわけです(ただしお急ぎ便が無料という特典は大きいですが*)。あなたが、どのような配送方法を利用しているかによりますが、プライム会員の登録キャンセルを検討すべき人もいるでしょう。

*訳注:アメリカの通販のお急ぎ便は、日本に比べかなり高額です。


単純な損得計算では、今回の動きは消費者にとって得です。なぜなら1)送料は無料に越したことはなく、2)最低金額が低ければ低いほど購入額が少なくて済むからです。

どこの通販でも、一定金額以上の買い物で送料が無料になる場合、顧客は必ずその額を満たそうとします。送料無料の最低金額がたしかに顧客の購入額を左右するという調査結果も存在します。ペンシルバニア大学ウォートンスクールがこのような記事を掲載しています

Amazonが送料無料対象金額の設定を変えたことによる影響が、データで実証されています。学術調査のためにインターネットの利用状況や購買行動を追跡するcomScore社 の分析でこのような結果が出ました。送料無料の最低購入金額が49ドルのときの注文1件当たりの平均購入商品数は3.31個だったのに対し、最低金額が25ドルになると、平均購入商品数も2.53個に下がったのです。このcomScoreのデータの標本は、最低金額が49ドルの期間と25ドルの期間の両方でAmazon.comを利用した購入者45人です。最低金額引き下げ後に「送料無料」で買い物をした消費者は、引き下げ前に比べ、注文1件当たりの購入金額が17ドル低くなり、購入商品数は1.82個減っていました。

要は、最低金額が高いほど、皆、無駄な買い物する傾向があるということです。ウォートンのマーケティング学教授David Bell氏は、セールなどで商品代金を10ドル節約するよりも、送料6.99ドルを節約しようとする人のほうが多いと述べています。送料・手数料というのは、そこから特に価値を得られるわけではないのに、消費税同様、買い物のたびにかかってしまうので、その費用を節約することに喜びを感じるそうです。

もちろん、最低金額が25ドルになっても、私たちの全体的な購入金額は結局増えることになるのでしょう。そもそもAmazonをはじめとする各社がこうした特典を提供するのは「そのほうが儲かるから」に他なりません。では、その戦略にはまらないためにはどうすればよいのか? それには、いくら得したということよりも、自分自身の予算や財政状況に目を向けることです。送料うんぬんに関わらず、自分がトータルでいくら買い物したかに着目しましょう。

もともと買おうと思ったものは10ドルだったのに、送料を無料にするために35ドルの買い物をしていませんか? そのほうが、支払った金額に対し多くのものを得られるので得だと考えがちですよね。しかし、自分の懐具合を考えた場合、けっして得とは言えない人もいるはずです。支払金額に占める商品代金と、自分の財政状況に対する買い物金額の、どちらが大事なのかを考えると、より客観的な判断ができると思います。


もちろん、送料無料で得をすることもあります。22ドルの買い物をして、送料が6ドルかかるなら、どうせ必要だった物に3ドルを費やしたほうが得です。送料を節約できる上に、スポンジやトイレットペーパーなどの必需品を補給できます。あなたをターゲットにしたAmazonの販売戦略が、あなた自身にとっても有利となるよう、上手に計算しましょう。

Kristin Wong(原文/訳:和田美樹)

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