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 自宅の空き部屋などに有料で旅行客を泊める「民泊」が昨年10月に解禁された大阪市で、今年3月末までに722施設が営業をやめるよう、市の指導を受けたことが分かった。いずれも「ヤミ民泊」だった。市は、さらに多くのヤミ民泊が問題を起こしているとみているが、実態把握が追いついていない。

 大阪市は、国家戦略特区制度で民泊を解禁した。今月19日時点で、部屋の広さなどの条件を満たす259施設が認定されている。

 市によると、昨年10月からの半年間で受け付けた、民泊をめぐる苦情は、2817施設に対してあった。大半は、旅館業法上の届け出も民泊の認定も受けていない「ヤミ民泊」とみている。だが、指導できたのは持ち主などが特定できた施設だけだ。多くは誰が営業しているかも把握できておらず、指導に至っていない。

 民泊仲介最大手「Airbnb(エアビーアンドビー)」のサイトに登録された部屋は、大阪府内で約1万3千にのぼる。大阪観光局の調査では昨年度、大阪府内に滞在する外国人観光客の19%が、民泊を使うと回答した。

 市に認定された民泊は、滞在者名簿の作成義務などを負う。ヤミ民泊が発覚しても、旅館業法に基づく罰金は3万円以下にとどまることも、ヤミ民泊が増える一因とされる。国会には全国で民泊を解禁する民泊新法が提出されている。違法民泊には最大100万円の罰金が科されるなど、罰則が強化される。(中島嘉克、近藤郷平)