【ニューヨーク=河内真帆】ネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムは25日、ニューヨークで書籍店の市内1号店を開いた。新刊書が3000タイトルと書店としての規模は小さいが、顧客データを生かした品ぞろえや展示法で訴求力を高める戦略だ。
「アマゾン・ブックス」の看板を掲げた新店は、マンハッタン地区セントラルパークの南西に位置するコロンバスサークルに面した複合ビル、タイム・ワーナー・センターの3階にオープンした。店舗面積は約370平方メートル。店頭には「アマゾンエコー」「キンドル」など同社のデジタル端末も陳列している。
書籍の陳列そのものは一般書店と大差ないが、ふらっと立ち寄った顧客の目を引くよう「読者評が平均4つ星」「最も読まれている古典本」といった一言コメントがすべての本に添えてある。「アマゾンのサイトで売れ筋」「アマゾンのサイトで1万件以上コメントが寄せられている本」「〇〇の本が好きな人にお薦め」などの店頭掲示物を備えたコーナーもある。
いずれもアマゾンが蓄積した大量の顧客データを利用した販促手法だ。季節の需要を喚起するため、夏の定番であるバーベキューのレシピ本の横に薫製機を置いて販売するなど、ついで買いを誘う品ぞろえも目立つ。
この日は10時に開店したが、昼前にはうわさを聞きつけた人たちが店前に行列を作るなど注目を浴びた。ニューヨーク市では今夏にもマンハッタンの34丁目で市内2号店が開業する計画だ。アマゾンは2015年以来、シアトル、シカゴ、ポートランドなど米国内で6店を運営しており、今回の新店は7店目となる。