好きなジャンルの音楽や、関わるバンドや歌手についてもっと知りたい! もしくは、未だに見たことのない伝説のバンドの映像、貴重なライブなどを観てみたい! どのようなジャンルであれ、音楽に親しんでいれば、このような欲求は自然である。音楽を映像で楽しむという行為は、この世界に"映画"が誕生した瞬間まで話はさかのぼるが、とにかく映画誕生以降、映像と音楽のリミックス作業は休む間もなく進化を続け、現在に至る。近年ではミュージカル・クリップの最新バージョンとして話題となった『ラ・ラ・ランド』(‘16年)や、最強最後のスーパースター、マイケル・ジャクソンのラストリハーサルを追った『THIS IS IT』(‘09年)といった、音楽を主体とした映画のヒットが記憶に新しいだろう。これらの作品こそ、まさに音楽映画の真髄といえる。
が、しかし、である。音楽をテーマにした映画にも色々ある。そこで筆者が、掘り下げて考察を試みるには最も面白いジャンルとして提唱したいのが"ロック・ドキュメンタリー"である。ロック・ドキュメンタリーとは何か? ビートルズからメタリカ、チャック・ベリーからレニー・クラヴィッツ、はたまたプレスリーから矢沢永吉に至るまで、ロックンロールを体現する人々の生きざまは、いつでもエネルギッシュであり、その人生は波乱万丈極まりない。またジャンルの歴史そのものが時代との合わせ鏡のような側面を持ち、映像で振り返ることで見えてくる時代性やメッセージがある。ロックをテーマとしたドキュメンタリー映画/映像は主人公がバンドであれ歌手であれ、己の才覚に賭ける情熱とパフォーマンスの出来栄えが最大の見所となっており、さらにカタギとはいえない多忙な生活によって独自の結論に辿りついた彼らの人生観に触れることは、下手なドラマを2時間観るよりよっぽど面白い。
特にロックやヒップホップといったサクセス絡みのドキュメンタリーは、事実だからこそ奇なりといったエピソードのオンパレードである。この機会に、未見の方には是非DVDレンタル、Netflixなどで色々検索し、Digってみて欲しい。また、本稿がその手助けになれば幸いである。それでは早速本題のレビューに突入しよう。まずはパンク編からスタートだ!