僕は塩焼きそばが好きだ。特にカップ焼きそば。と、思っていた。
思っていたというのは、最近カップ塩焼きそばに苦渋を舐めさせ続けられているからだ。ソース焼きそばももちろん好きだが、やはり塩焼きそばである。しかし、ここ1年ほど手にした塩焼きそばを完食できた試しがない。100円ローソンで買った塩焼きそばしかり、サミットで買った塩焼きそばしかり。
「違う、これじゃない」。記憶の中にある、あのおいしい塩焼きそばとは似ても似つかぬものばかり。麺の食感も、ソースの味も、なにもかもだ。数か月に一度ほどのペースで食べ、「くぅ~っ」と味わっていた塩焼きそばはどこへいったのか。
ただ、そんな中にも思い当たるふしはあった。そう、一平ちゃんの塩焼きそばじゃないから。僕が昔から好きだったのは、一平ちゃんの塩焼きそばなのだ。しかし東京ではとんと見かけない。代わりに買った見たこともない塩焼きそばたちはことごとくハズれた。
「もしかしたら味覚が大人になり、ジャンクな味を受け付けなくなったのでは…」と不安になる日もあった。Amazonで検索しても売っているのは12個。ダース買いする勇気はない。食欲もない。
そんなある日、2年ぶりに実家に帰省する機会があった。実家周辺なら一平ちゃんなんて腐るほどある。コスモスにも、ドラッグストアモリにも、サンドラッグにも。僕はここぞとばかりに一平ちゃん塩だれ味を4つカゴに入れ、「これも食べ」「あれも食べ」と祖母たちが段ボールに詰めた食料品と共に納め、東京の自分の住所に送った。そして今日。荷物を受け取り。ついに。何年ぶりか。一平ちゃん塩だれ味を食べたのだ。
なんということだろう!
あんまりおいしくなかった。
絶望した。あと3つどうしよう。UFO食べたい。