中学生プロ棋士 藤井四段が19連勝

中学生プロ棋士 藤井四段が19連勝
史上最年少で将棋のプロ棋士となり、デビューからの公式戦の連勝記録を更新している愛知県の中学3年生、藤井聡太四段が25日の対局に勝って連勝記録を19に伸ばすとともに、竜王戦の挑戦者を決める決勝トーナメントへの進出を決めました。
将棋の藤井聡太四段は、去年10月に史上最年少の14歳2か月でプロ棋士となり、デビュー戦で現役最年長の加藤一二三九段を破って以降、公式戦では一度も負けることなく勝ち続け、先月4日にはデビュー戦から11連勝の新記録を達成しました。

その後、さらに7勝を挙げた藤井四段は、25日に東京の将棋会館で行われた竜王戦の予選で、近藤誠也五段と対局しました。
対局は、藤井四段が自在に駒を進めて終始攻め続ける展開となり、午後7時37分に102手までで近藤五段が投了し、藤井四段はデビュー戦から続く連勝記録を19に伸ばしました。

日本将棋連盟によりますと、デビュー戦からに限らないこれまでの連勝記録の最高は、神谷広志八段が30年前の昭和62年に成し遂げた28連勝で、19連勝は歴代単独7位の記録となります。

また、藤井四段は25日に勝ったことで、11人が参加して竜王戦の挑戦者を決める決勝トーナメントへの進出を決めました。

対局のあと藤井四段は「決勝トーナメントに進めることはとてもうれしいです。タイトル挑戦はもちろん大きな目標ではありますが、強い先生ばかりなので、まずは一局一局やっていきたいです」と話していました。

藤井四段の次の公式戦は来月2日に予定されていて、この対局に勝てば連勝記録を20に伸ばします。

意外な攻めが強さの特徴

藤井聡太四段の強さの特徴について、非公式戦で対局して敗れた経験のある中村太地六段は「対局の状況を正確に見極めながら指し手を変える柔軟さがうかがえる」と指摘しています。

中村六段は藤井四段について、「棋士は普通、長所があれば短所もあるという人が多いですが、藤井四段には今のところ、目立った短所が見当たりません。一局指すたびに成長が感じられ、どんどん進化していて、末恐ろしい棋士だと思っています」と話しました。

そのうえで、これまでの対局の中で藤井四段の強さの特徴が現れている手として、ことし3月の新人王戦で見せた「意外な攻めの一手」を挙げています。
終盤の118手目に藤井四段が選んだのは、攻撃の要として重要な自分の「角」を、相手の「香車」に簡単に取られてしまう場所に置いた手で、一見すると非常に損な選択でした。
しかし中村六段によりますと、この手には、相手の香車を前に動かすことで、その背後に持ち駒の「桂馬」を打ち込む狙いがあり、それによって相手の「王将」を一気に追い詰めることができるということです。
実際には相手は角を取りませんでしたが、藤井四段はこのあと優勢に対局を進めたということで、中村六段は「何年も経験を積んだ棋士なら逆に排除してしまうような手ですが、藤井四段は、先入観のない真っさらな澄んだ目で局面を捉えることができている。このような手が指せるというのは、まさに天才少年なのかなと思います」と話しています。

また、藤井四段の強さの特徴としては、このほか、相手の攻めの狙いを封じ込める守りの的確さや、持ち時間が少ない中でも盤面全体を捉えることのできる視野の広さなどが挙げられるということです。

中村六段は、「対局の状況を正確に見極めながら、カメレオンのように指し手を変える柔軟さがうかがえます。歴史上の偉大な棋士のいいところを勉強して、吸収しているのだと思います」と指摘しています。