ブラックニッカ クロスオーバーは、ブレンダーズスピリットに次ぐ限定品の第二弾になります。
キーモルトとして、余市のヘビーピート原酒と、宮城峡のシェリー樽原酒を使用し、性格が大きく異なる2種類のモルトをぶつかり合わせるブレンドとなっています。
北海道の場合、距離的なハンデのため、東京などに比べて2日遅れでの販売となってしまいます。
amazonで予約したものの、やはりこの日数を超えることはできませんでした。
ここ最近の新しいボトルの多くが、余市のヘビーピート原酒を使うことが多く、個人的には食傷気味になっているのに加え、ブレンダーズスピリットが60年物の原酒を使っていたこともあり、今回はそれほど良くはないだろうと予想しています。
今回は比較対象として、限定ボトル第1弾のブレンダーズスピリット、そして同じくヘビーピート原酒を主体としたレギュラーボトルのディープブレンドも飲んでいきます。
まずはストレートから。
グラスに注ぐと、液色は少々濃いめのアンバー、香りは焼き立てのパン、そしてマスカットと続きます。
口に含むと、まずライムとナシの香りが先に立ち、あとからタール分を感じさせるピートが追いかけます。最後にはパン、レーズンが締めます。
味わいはしびれるほどとても辛く、後々から酸味が続いてきます。
続いてはブレンダーズスピリットです。
こちらはクロスオーバーに比べると香りは丸く落ち着いた雰囲気で、レーズンの香りが先に訪れ、その後にピート、その後に青リンゴ、カカオと続きます。
味わいは辛さは控えめで、酸味、ビター、そして甘さを感じます。
最後にディープブレンドです。
こちらはライムが先に現れ、その後にバニラ、ナッツ、カカオが追いかけます。
味わいはこちらも辛さは控えめで、酸味がメインとなっています。
次にロックで飲んでいきます。
まずはクロスオーバーから。
香りは先ほどと一変してレーズンが表に出てきて、ピートは少々落ち着いた感じです。あとからライム、ナッツ、カカオへ続きます。
味わいはストレートでの強烈な辛さが消え、酸味とビターが舌を支配します。
続いてブレンダーズスピリット。
香りはナシ、青リンゴが先に現れ、ピートはほのかに感じるほどになります。その後はゴム、マスカット、ナッツ、ウッディがやってきます。
味わいは酸味がメインですが、その後は甘さがやってきます。
最後にディープブレンド。
香りは青リンゴ、ナシが前に来ますが、ピートはしっかり立っていて、後にモルト、ナッツが続きます。
味わいは甘さが少々勝った印象で、ビター、酸味がそれを引き立たせる感じです。
そして今度はハイボールで飲んでみます。
まずはクロスオーバー。
香りはほのかにピートが来た後、軽くライムを感じる程度で、香りが立つ印象ではありません。
味わいはビターが少々目立ち、渋い印象にあります。
次にブレンダーズスピリットです。
香りは、軽くナシ、柿、バニラが感じられ、ピートはだいぶ薄れた印象です。
味わいは甘みと酸味が交互に感じられ、飲みやすくなります。
最後にディープブレンド。
香りはレーズンが先に感じ取られ、後に柔らかくバニラが包み込む印象です。
味わいは甘さが先に立ち、こちらもかなり飲みやすい印象です。
駆け足で3種類を比較しましたが、クロスオーバーはアクの強さを前面に出した印象で、かなり人によって好き嫌いが激しく分かれる印象です。
ストレートでは若い原酒を使っているせいか、辛すぎて飲むに堪えられませんでした。軽く加水すれば辛さが幾分収まって、ヘビーピートとシェリーの調和がバランスよくとれる絶妙なハーモニーを感じ取れますが、多面性ではかなり劣ります。
つまり、ストライクゾーンが狭く、飲み方をかなり限定される印象です。メーカーのテイスティングノートは正直あてになりません。
おそらくは、連続テレビ小説「マッサン」に惹かれ、本格的なスコッチ由来のウイスキーを飲みたい、というユーザーを反映したブレンドにしたように思えますが、いろいろなスコッチのシングルモルトを飲んだ身としては、コレジャナイ感が半端なくやってきました。
佐久間チーフブレンダーは、マーケティングの要望に頭を抱えたに違いない、と、あえて擁護させていただきます。
700mL、アルコール度数43度、価格は2000円ほど。値段を考えれば悪くないですが、ブレンダーズスピリットを飲んだ人が期待すると、痛い目に遭うでしょうね。
<個人的評価>
- 香り B: 先にライム、ナシ、その後にタール感の強いピート、その後にレーズン、ナッツ、カカオ。
- 味わい C: ストレートでは辛すぎて飲めない。軽い加水で絶妙な酸味と甘さがやってくる。
- 総評 C: ストライクゾーンを理解すればとびきりうまい。しかし狭すぎて万人受けできない。
ブラックニッカ クロスオーバー 700ml 43度 箱なし ※おひとり様1本限り。 kawahc |
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