朝日新聞 自社に都合悪い異論を排除するファシズム的紙面
NEWSポストセブン / 2017年5月25日 16時0分
作家・比較文学者の小谷野敦氏
〈当社は、読者の信頼を取り戻すための第一歩として、訂正記事の書き方を変えます〉〈必要に応じて間違えた理由などを丁寧に説明します〉──2014年12月9日、朝日新聞は朝刊紙面でそう宣言した。
2014年といえば、「慰安婦」、「吉田調書」の記事取り消しや訂正、謝罪に追われた年である。翌2015年4月からは「訂正・おわび」を社会面に集約。2段抜きの見出しで掲載するようになった。そうした取り組みの“成果”として、訂正・おわびの件数が月平均27件と、以前の倍以上に増えた(2014年10月から2015年6月まで)。
現在も数多くの訂正記事が出ているが、「おわびの外側にも朝日の宿痾が見え隠れしている」と指摘するのは、作家・比較文学者の小谷野敦氏だ。
* * *
ジャーナリストの池上彰が連載コラムで朝日の慰安婦報道検証を「遅きに失したのでは」と批判したところ、社の判断で掲載が見送りになった一件がある。
この時は池上と朝日の一連のやり取りが外部に伝わって「言論封殺」との批判が巻き起こり、慌てた朝日は池上コラムを掲載し、その後、〈多様な言論を大切にする朝日新聞として間違った判断であり、読者の本紙に対する信頼を損なう結果になりました〉とおわびした(2014年9月6日付朝刊)。
しかし、これはおわびになってない。朝日は自分たちに都合の良いことを書く人として池上に頼んだつもりが、内心は飼い犬に手を噛まれた気持ちだろう。
本当の意味で反省して「多様な言論を大切にする」ならば、以降、紙面にいわゆる朝日文化人的でない人物を登場させるべきだが、現実は異なる。
朝日は昔こそ多様な言論を載せていたが、今は締めつけが厳しく、例えば百田尚樹らは事実上排除されている。どんなに著作がベストセラーになっても、登場することはほとんどない。
私も2013年の参院選前にめずらしく朝日の取材を受けたが、「私は改憲派です」と発言すると記者の様子がおかしくなり、結局その部分は記事にならなかった。
自社に都合の悪い異論を排除し、多様な議論を拒むのはファシズムだ。現在の朝日はわずか10万人レベルの“朝日的知識人”を相手に記事を作っており、残り1億3000万人の大衆と乖離している。
これは、些細な誤りを訂正しておわびすることより、よほど重大かつ深刻な問題である。
【PROFILE】こやの・あつし/1962年生まれ。作家、比較文学者、学術博士(東京大学)。著書に『芥川賞の偏差値』(二見書房)など。『聖母のいない国』(河出文庫)でサントリー学芸賞。
※SAPIO2017年6月号
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