文部科学省前次官が会見「文書なかったことにできない」

文部科学省前次官が会見「文書なかったことにできない」
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学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に設置する計画の獣医学部をめぐり「総理の意向だ」などと記された一連の文書について、文部科学省の前川前事務次官が記者会見を開き、「私が在職中に作成され受け取った文書で、確実に存在していた。あったものをなかったことにはできない」と述べて、文部科学省で作成された文書だと主張しました。
国家戦略特区により、学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に来年4月に設置する計画の獣医学部をめぐり、先週、国会でその選考の途中に内閣府が文部科学省に対して「総理の意向だ」などと発言したとする複数の文書の存在が指摘されました。文部科学省は調査した結果、「該当する文書は確認できなかった」と説明しています。

これについて、当時の文部科学省の事務次官だった前川喜平氏が記者会見を開きました。この中で、前川前次官は一連の文書について、「私が在職中に専門教育課で作成されて受け取り、共有していた文書であり、確実に存在していたものだ」と述べて、文部科学省で作成された文書だと主張しました。

さらに、「私が発言をすることで文部科学省に混乱が生じることは大変申し訳ないが、あったものをなかったことにはできない」と述べました。

また、特区制度のもと、今治市と加計学園が選考されたいきさつについては、「結局押し切られたことについて事務次官だった私自身が負わねばならない責任は大きいと思っている」と発言したうえで、「極めて薄弱な根拠で規制緩和が行われた。公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられたと思っている」と述べました。

このほか、「証人喚問があれば参ります」と述べ、国会でも一連の経緯について証言する意向を示しました。

前川前次官は文部科学省の天下り問題の責任をとり、ことし1月、辞任しています。

官房長官 怪文書の認識変わりない

菅官房長官は、午後の記者会見で、学校法人「加計学園」が運営する大学の獣医学部の新設をめぐり、民進党が指摘している「総理の意向だ」などと書かれた文書の存在について、記者団が、「以前の会見で『怪文書のような文書だ』と言っていたが、前川氏の証言を聞いても認識は変わらないか」と質問したのに対し、「出どころが不明で信ぴょう性も定かではない文書だ。全く変わりはない」と述べました。

また、菅官房長官は、文部科学省による再調査の必要性について、「文部科学省で1回調査し、『文書の存在は確認できなかった』と松野大臣が言っているので、それ以上でもそれ以下でもない」と述べました。
さらに、菅官房長官は、記者団が、「政府としては、文書の存在は無かったということか」と質問したのに対し、「そういうことではないか」と述べました。

文部科学大臣「会見の様子知らない」

松野文部科学大臣は、25日夕方、総理大臣官邸で記者団に対し、「前川前事務次官の記者会見の様子を、会議に出ていて全く存知あげておらず、自分が把握していない内容について無責任に発言することはできない」と述べました。