「文書は本物」の証言 文科相「コメントする立場にない」

「文書は本物」の証言 文科相「コメントする立場にない」
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国家戦略特区での大学の獣医学部の新設をめぐり、民進党が指摘している「総理の意向だ」などと記された文書の存在について、松野文部科学大臣は参議院文教科学委員会で、「文書の存在は確認できなかった」と改めて強調しました。
また、一部の報道で前の事務次官が「文書は本物だ」などと証言していることについて、松野大臣は「すでに辞職した方の発言なのでコメントする立場にない」と述べました。
国家戦略特区に指定された愛媛県今治市で計画されている、学校法人「加計学園」が運営する大学の獣医学部の新設をめぐって、民進党は「総理の意向だ」などと書かれた文書の存在を指摘しています。

これについて、25日の参議院文教科学委員会で、松野文部科学大臣は「指摘のあった文書については、文部科学省が該当する文書の存在が確認できなかったとの調査結果を公表している」と述べました。

また委員会では、一部の報道で、前川前事務次官が「文書は本物だ」などと証言していることが取り上げられ、民進党の斎藤嘉隆氏は「部下から受け取った説明用の資料で間違いないという前川氏自身の証言が掲載されている。動かしようのない事実だと思うが、大臣の認識を伺いたい」とただしました。

これに対し松野大臣は「一部週刊誌などの内容に関しては、すでに辞職した方の発言なので文科省としてコメントする立場にない」と述べました。そのうえで、松野大臣は、前川氏が在職していた時に、文書の存在については直接的にも間接的にも報告は無かったと説明しました。

さらに民進党が24日、国家戦略特区の諮問会議で獣医学部を新設する方針が決定される前に、内閣府や文部科学省と加計学園の間で打ち合わせが行われたことを示す文書があると指摘したことについて、松野大臣は「大学の設立に関する一般的な相談はありうるが、相談があったかなかったか、公表しているものではない」と述べました。

一方、委員会に先立って開かれた理事会で、民進党は、前川前事務次官を参考人として招致するよう求めましたが、与党側は「応じられない」として、引き続き協議していくことになりました。

官房長官「総理から指示は一切なかった」

菅官房長官は午前の記者会見で、「文書について、文部科学省が行った調査では存在が確認できなかった。また内閣府が、文書に書かれているような『官邸の最高レベルが言っている』とか『総理のご意向だ』と言った事実はないし、安倍総理大臣からも、そうした指示は一切なかった」と述べました。
そして、記者団が再調査をする考えはないかと質問したのに対し、「文部科学省で適切に対応すると思う」と述べました。

また菅官房長官は、記者団が「前川前事務次官は『行政がゆがめられた』と証言しているが」と質問したのに対し、「全く、そういう事実はない。今回の獣医学部新設は国家戦略特区法に基づく手続きを経ており、行政がゆがめられたという指摘は当たらない。前川氏は、自身が責任者のときにそういう事実があったのなら、堂々と言うべきではなかったか」と述べ、前川氏の証言を否定しました。

さらに菅官房長官は「前川氏は、今回の文部科学省の天下り問題では、当初は責任者としてみずから辞める意向を全く示さず、地位にしがみついていたが、その後の、天下り問題の世論からの極めて厳しい批判などにさらされて、最終的に辞任をされた方だと承知している」と述べました。

自民 石破氏「行政が公平公正に行われたかが焦点」

自民党の石破前地方創生担当大臣は、派閥の会合で、「行政がすべからく、すべての人に公平公正に行われたかということが焦点であって、スキャンダルっぽく話をすることは、決して政治のあるべき姿だとは思わない。われわれ与党の立場としても、この問題で国民の信頼を損ねることがないように努力していきたい」と述べました。

公明 漆原氏「前次官の言葉は重いが判断基準にならない」

公明党の漆原中央幹事会会長は、記者会見で、「前事務次官という要職にあった方の言葉だから、重い言葉であることは間違いない。ただ、どのようないきさつで発表されたのか背景が分からないので、今回の証言をもって、文書が本物かどうかを判断する基準にはならない」と述べました。

共産 小池氏「前事務次官の証人喚問を要求」

共産党の小池書記局長は記者会見で、「この問題を放置すれば一部の人たちに国家が私物化されているという疑惑がどんどん広がる。政府・与党は、そういう事態を、よしとしていいのか。真相解明に背を向ける松野文部科学大臣の姿勢は許せないし、菅官房長官の姿勢も断固、糾弾したい。真実のみを語る場で、きちんと話してもらうため、文部科学省の前川前事務次官の証人喚問を要求するとともに、国会で、安倍総理大臣の出席を求め集中審議も行うべきだ」と述べました。