ソーシャルメディア・サービスにとって、ユーザーの趣味や興味を知るのは重要な鍵です。広告が大きな収入源である以上、ユーザーに適した広告を見せることで、より広告主にとって魅力的な宣伝プラットフォームにせねばならないからです。
そこであらゆるサービスがあの手この手でユーザーの情報を掴もうとするわけですが、今までどういった情報をサービスが握っているのかはあまりわかっていませんでした。しかし、先日Twitterがポリシーと機能を変更したことで、その実態が少しだけ明らかになりました。以下は米Gizmodo記者のKate Conger氏によるちょっとしたエピソードです。
Twitterは、私が親父フェチだと色んな人にふれ回っていたようです。
この事実が発覚したのは、先日Twitterがプライバシーポリシーを更新したことで、広告主からユーザーがどう見られているかを確認でき、どういった情報を共有するか設定できるようになったからです。確認できる情報の中には、Twitterが自動的に選択した、各ユーザーの興味があると思われる項目のリストがありました。
私のリストには69項目があり、その中には「Dads(親父)」というものまでありました。ということは、Twitterは少なくとも2,368の広告主とそれを共有したということになります。
親父フェチの人が悪いとは思いませんが…はぁ!? 親父になんか興味ないですよ!!
この事実に私は不快感と困惑を覚えました。「母親」じゃダメだったのでしょうか? 「親父に興味がある」というのはどうなんでしょう? この情報を元に、Twitterはどんな広告を送ってくるつもりだったのでしょうか? 一風変わったネクタイ? 「フルハウス」のDVD? 私は自分のツイートをあさって、「親父」という言葉を探しました。一体どういうツイートをしたらこういうことになるのでしょうか?
まぁ、Twitterが教えてくれたのがせめてもの救いでしょうか。
アプリ内で表示された発表によれば、Twitterは「プライバシーポリシーを更新することで、より個人に最適化されたTwitter体験を提供し、Twitterコンテンツを含むサイトへのユーザーのアクセスを利用することで、Twitterをユーザー毎に適切にしていく予定」でもあるそうです。
複雑なユーザープロファイルを作り上げて広告主に売っているのは、何もTwitterだけではありません。FacebookやGoogleだって似たようなことはやっています。しかし、Twitterはソーシャルメディア・マーケティングの過程を知る貴重な機会をユーザーに与えているのです。
他のサイトと違うのは、自分の気に入らない種類のトラッキングをオフにすることができる点です。さらに、ユーザーを「テイラード・オーディエンス」として登録しているブランドのリストを要求することもできます。これは、Twitter外のコンテンツからユーザーをトラッキングし、Twitter内でそのコンテンツに関連した広告を出す機能です。より洗練されたユーザーの趣味趣向データを持っているであろう、Facebookなど他のソーシャルメディアサービスでは考えられないレベルの透明性です。
ユーザーは、Twitterが広告主と共有する個人データを全てオフにしたり、あるいは位置データや、ユーザーのスマートフォンにインストールされている別のアプリからの情報などを個別に選択することもできます(これらのオプションはすべて、アカウント設定の「カスタマイズとデータ」から見ることができ、「Twitterデータ」ではユーザー個人のデータを見ることができます)。
すでにいくらかのTwitterユーザーは、自分をテイラード・オーディエンスに加えているブランドのリストを要求して全てをブロックしはじめています。
もし貴方がトラッキングをオフにするつもりなら、ウェブ全体からのトラッキングを拒否するのをオススメします。これはTwitterの新機能で、ユーザーが訪れたサイトを元に広告をパーソナライズするというものですが、聞いた感じはかなり大雑把です。スイスー米国プライバシーシールドプログラムやその他の広告倫理原則には則っていると言いますが、この手のトラッキングはEUでは禁止されており(実際EUのユーザーはトラッキングされません)、侵害的だと感じるのは無理もありません。
Twitterが私の趣味を間違え、私に「親父」関連のコンテンツを送るよう多数のブランドに指示したのは笑って済ませられる問題です。しかし同時に、Twitterがどれだけ正確でもあったか(米Gizmodoの宇宙関連ライターのRaeが「ドラマ」と「宇宙と天文学」に興味があるとTwitterは予測し、彼女によればそれは非常に正確だったそうです)を考えると背筋が寒くなってきます。
私はTwitterに毎日かなりの時間を使うので、この青い小鳥さんは私のことを相当知ってしまったようです。私の興味が「ネットワーク・セキュリティ」、「テックニュース」、「政府職員や機関」にあり、同時に暇な時には「インターネットのキュートなもの」を見たり、「ドレスやスカート」をショッピングしたり、「ドキュメンタリー」を観ることまで知っているのです。その正確さに、私はTwitterの全てのカスタマイズをオフにしました。
でもリストだけは残すことにしました。比較的無害で笑える、ブランドによる監視を物語っているからです。Twitterはあなたがどんなことに興味があると思っているのでしょう?
top image: Sattalat phukkum / Shutterstock.com
source: Twitter(Blog), Twitter 1, 2, 3, Rae
Kate Conger - Gizmodo US[原文]
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