お客様が口にするものだけにクレームは重く受け止める。
食品スーパーに勤めています。数多くの商品を販売しているので、品数の分だけクレームも様々な角度からやってきます。
異物が入っている。異臭がする。色調不良。味がおかしい。中身が溶けている。などなど様々なクレームがあり、お客様が直接口にするものだけに事の重大性を重く受け止めて対応しています。
「客を疑っているんか?」
「客を疑っているんか?」と言う言葉をもう何度聞いたことでしょうか。食品スーパーの社員として、クレームがあった時は、まずは謝る。
これは、確認とか以前の問題で、相手はお客様なので、ご気分を害されたことに対する謝罪な訳です。
長年この仕事をやってきましたが、やっぱりクレームって気持ちが焦ります。いつも自分に「落ち着け」と言い聞かせての対応になっています。
そんな中でも「疑っているんか?」のお客様の言葉。この言葉を聞いてね、早くお客様に安心というか、納得のいく答えを出して差し上げたいってね思うんです。
大抵の場合は本当にお客様は困って電話をしてくる。
そもそも「疑っているんか?」と言われても、事実である場合がほとんどなので、さほど疑う気持ちはないんです。
今までの経験上、「買った商品に何かしらの問題があった」というクレームを嘘で入れてくるお客様は少ないように思います。
勘違いもあるかもしれませんが、本当に困っているから電話をしてくるんです。
謝罪→(返金・交換)→メーカーの調査の一連の流れ
そして、お客様のことを第一に考え、まずは商品をお預かりした時点で返金か交換に応じてそれからの調査になります。
代替品をお持ちする。返金をする。メーカーに問題の商品を調査してもらう。
一連の流れでお客様はご納得に至る。ほとんどがそうであるから、今回私が経験したことは、私の頭の中では「まさかこんな人がいるとは?」と思ったことなんです。
「お前のところで売っている酒は水みたいだぞ」のクレーム
いつも当店でお酒を買っているというお客様から電話がありました。
「お前の所で売っている〇〇というお酒、なんだあれは?お酒という代物じゃないぞ。水みたいじゃないか?」
この電話で最初私は、「水みたいって?そんな訳ないだろ?」とお客様の考えを疑いました。
しかし、大事なお客様を疑うような姿勢を見せることはできません。なのでまずは「大変申し訳ございません」と謝りました。
そして、こういう場合は事実を確認しないといけないため「詳しくどういう状態か教えていただいてよろしいですか?」と聞きました。
するとお客様は、「これはお酒に水をまぜているものだ。こんなものを売っていたら信用をなくすぞ」と言われました。
もし、本当にメーカーが水を混ぜていたとしたら重大なクレームです。
なのでその商品を引き取り調べる必要があります。なので代替の品(同価格帯のお客様がいつも飲んでいると言うお酒)を持っていき、その場で交換することになりました。
お客様に会うと、すでに酔っぱらっていました。私に会うなり、「う~い、もってきたか?」と代替えのお酒を要求しました。
「わしが言うんだから間違いない」とおっしゃられるお客様
先に水みたいだというお酒を回収させていただきたいことを伝えると「わしは何十年も酒を飲んどるんじゃ」「わしが言うんだから間違いない」と言われました。
「持ってくるからとりあえずそれを渡せ」と言われ、お客様の言葉を信用してしまい代替品を先に渡しました。
すると「じゃあ、もうええで」とお客様。え?なに?商品の回収は?とあせりました。
お客様に「メーカーに調査してもらわないといけません。だから回収させてください」と言うと「うるさいやつだな。お前は水みたいな酒を売って、人に迷惑をかけてるのに」と話が噛みあいませんでした。
奥に奥さんがいましたが、奥さんも・・・
「なんで持って帰る必要なんかあるんや?そんなもの、わしが水みたいって言うてるのが信用できないんか?」とお客様。
私は「いや、そういう問題じゃなく、水みたいっていう商品をお客様のところに置いたままにしておくことはできません。今後のために調査しないといけません。こちらには調査する責任があります」と言いました。
すると奥にいてた奥さんも「うるさい人やな。くそまずい酒を売りつけて、何を文句言ってるの?」と言ってきました。
そして旦那さんに、「もうええからサービスで置いて行け」と言われました。私はこれ以上話しても無駄だと思いあきらめました。
4コマ漫画(先にそれよこせ)
悔しさから学んだもの
さっそく、上司にこのことを報告しました。私はこっぴどく叱られました。最初になぜ商品を渡してしまったのか?お客様が怒っているという焦りから、正常な判断が出来ずに早まった行動をしてしまったことを反省しました。
クレームの商品が回収できないと、メーカーに返品も出来ないし、たかが千円ちょっととはいえ、店がその分を負担しないといけません。
お客様は「しめしめ新しい酒が手に入ったぞ」と思っているのかも知れません。そう思うととても悔しい気持ちになりました。
接客の仕事をしていると、お客様からのクレームで「疑っているのか?」「こちらの言うことが信用できないのか?」と言われることがあります。
今回は疑っている姿勢を見せたくないという私の焦る気持ちが生んだ失敗でした。クレームでお客様に「疑ってるのか?」と焦らされると、事実確認を後回しにして、先にお詫びの行動をしたくなる事があります。
しかし、中にはそれを悪用して金品を要求する人もいる事実。落ち着いて先に事実を確認する大切さを改めて感じました。