mr.children配信ベスト【Thanksgiving 25】に見る配信とCD販売の利益
- 2017/5/25
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目次
mr.childrenの配信ベスト【Thanksgiving 25】発売
mr.childrenの配信ベストMr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25 – Mr.ChildrenとMr.Children 2003-2015 Thanksgiving 25 – Mr.Childrenが先日出ました。
mr.childrenとしては初の配信アルバムとなります。
(もともと配信している曲自体あまり多くありません)
下記の記事はmr.childrenの前アルバム【REFLECTION】出した時に書いたものですが未だにアクセスがかなり多い記事となっています。
【REFLECTION】はCDとしての販売ですが、9000円するUSB版が物議を醸していましたので、高額商品を販売する理由を掘り下げた記事となっています。
興味ある人が多いようなので今回はmr.childrenの配信ベスト【Thanksgiving 25】についても配信限定にした理由について掘り下げてみたいと思います。
【Thanksgiving 25】はなぜCD販売でなく配信なのか?
この辺りは想像にすぎませんが単純にCDで販売するよりも配信の方が利益が出るからでしょう。
実際、mr.childrenはCDショップを応援する企画をするなど配信中心の流れの中でもCD販売には積極的なアーティストです。
CDの方が利益が出るならCDで販売するはずです。
CD業界の外部環境
前回の【REFLECTION】の記事でも書きましたがCDの売上が急激に落ちています。
日本レコード協会発行の「日本のレコード産業2017」によるとCD全体の売上がピークの2002年時より半減しています。
さらに毎年数%ずつ落ちています。
例えば直近の2015年から2016年にかけても113百万枚から105百万枚と7%近く下がっているのです。
例えばmr.childrenが前回ベストを出した5年前の2012年はCD業界としてのCD生産量が150百万枚ありました。
昨年は105百万枚ですから比較しても30%近く差があります。
mr.childrenのCDの売上もこの業界全体の下げとほぼ連動していますので今回出しても30%近くの減少は避けられないでしょう。
出展:日本レコード協会「日本のレコード産業2017」
次に配信はどうでしょうか?実は音楽配信もピークは2009年ごろにあり当時と比べると下がっています。
これはスマートフォンの登場による影響だと思われます。
スマートフォン前は携帯電話の着うたなどでダウンロードする人が多かったです。
それがスマートフォンが普及することで(とくにiPhone)着うたの人みなくなりましたね。
しかし、そこからは純粋に音楽を聞く目的でダウンロードする人が増え2013年を底に毎年数%ずつ増えています。今後も拡大していくことが予想されます。
最近は電車なんかでみていても専用端末で音楽を聞く人はかなり少なくなりました。
ほとんどスマートフォンで聞いていますよね。
私もREFLECTIONが出た時にハイレゾウォークマンを買いましたが最近はほとんど使ってません。
スマートフォンと別に持つこと、充電することが面倒でiPhoneばかりです。
出展:日本レコード協会「日本のレコード産業2017」
スマートフォンでCDを聞くハードルは高い
スマートフォンで音楽を聞くためにはやり方が色々あります。
- 音楽をストリーミングする
- 配信曲をダウンロードする
- CDから取り込む
大きく分ければこの3パターンです。
上二つは問題ないのですがCDから取り込むのはハードルが高くなってきました。
まず、パソコンを持っていない人が増えた。
CDからスマートフォンに取り込む定番はパソコンからだと思いますが中高生あたりでパソコンを持っていない人が急激に増えていると聞きます。ipadなどタブレットがあればそこまで必要性を感じなくなっているそうです。
また、パソコンにCDがついていないってパターンも増えています。
私が持っているIMacにはついていますがMacBook Proもついてません。
配信とCDの利益
CD業界が置かれている環境はわかっていただけたと思います。
次に配信とCDでどれくらい利益が変わるのかを考えてみたいと思います。
まず、今回の【Thanksgiving 25】はベストアルバムです。
そのためすでに曲は出来上がっていますし、レコーディングも必要ありません。
つまり曲制作にかかる経費は全くかからないのです。
私もmr.childrenの楽曲は全て購入してますので同じ内容のCDを作ろうと思えば簡単にできます。
せっかく出すのですからハイレゾ化して欲しかったです(笑)
CDで販売する場合
もしCDで販売する場合にはパッケージ、歌詞カードなどの作成が必要になります。
もちろんベストアルバムですからそれなりの付録(前回は写真集やPVとかついていたような)が必要になってきます。
また、それらに関わる人の人件費なども必要になってきます。
また、前回は結構プロモーションしておりましたのでその辺りの費用も掛かってきます。
この辺りまでは固定費といって売上が増えようが減ろうが変わらずかかってきます。
CD制作費はある程度売る量によって調整できます(変動費)
つまり、前回のベストアルバムと同レベルのものにしようとすれば、
今回かかるお金のうち固定費は変わらないくらいかかるということです。
ということは固定費は前回のベストアルバムとそれほど変わらないが
売上は初めから30%近く落ちること、つまり利益が大きく落ちることが初めから予想されているのです。
mr.childrenレベルになれば利益はもちろん出るでしょうがビジネスとしては勇気がいりますよね。
一般論として固定費がありますのでCDで販売するのは予想以上に売れなければ赤字なんてことにもなったりするリスクの高いビジネスと言えます。
配信で販売する場合
配信で販売する場合にはパッケージ、歌詞カードの作成が必要ありません。
おまけもつけない(つけれない)でしょうからそれらの固定費が全くかかりません。
人件費もかなり少なくなるはずです。他にかかる固定費はイラスト作成くらいでしょうか。
あとかかるものは売上に応じて払う費用(20%とか30%とか言われている)くらいでしょう。
今回の場合、制作費をかけず、固定費もほとんどかけずに出すのですから配信の場合は赤字になるリスクがほぼないのです。
また、固定費が少ないですから売れれば売れるだけ利益が出ます。
実際の数字がわかりませんので推測の域は超えませんが、
配信の方が利益が多く出る可能性が高く、ビジネスとしてのリスクも低いです。
また、CDで出すのに比べて手間がかからないのも大きいのではないでしょうか?
最近はライブをたくさん行なっているのでそちらで人出を使うでしょう。
(私も今度のナゴヤドームに行きます)
所属しているエンジンはそれほど大きな企業ではありませんので
その辺りも加味して配信にした可能性もありますね。
まとめ
mr.childrenの配信ベスト【Thanksgiving 25】について配信とCDのビジネス、利益についてみてみました。
今回は音楽ビジネスの話でしたがこれはどこの業界でも同じです。どこで商売するのか(外部環境を知ること)や利益や価格特に変動費と固定費の関係を知っておくのはとても大事ですのでぜひ自社のビジネスでも考えてみてください。
読んで頂きありがとうございます。
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