前川前次官「文書本物」 文科省幹部で共有
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人加計(かけ)学園(岡山市)が国家戦略特区で獣医学部を新設する計画を巡り、文部科学省が特区を担当する内閣府から「総理のご意向」と早期開学を促されていたことを記録したとされる文書について、文科省の前川喜平前事務次官が「文書は本物だ」と周囲に語っていることが関係者への取材で分かった。同省は「文書の存在は確認できなかった」との調査結果を19日にまとめたが、野党側は真相解明を求め追及を強めている。
文科省関係者によると、文書が作成されたのは昨年9~10月で、一部の同省幹部で共有されていたという。また、文書に関しては、25日発売の週刊文春が、前川氏が実名で「間違いなく本物」と証言したとの記事を掲載する。「独占告白」と題し「元公僕として、この文書をなかったことにはできない」「本来なら、筋が通らないと内閣府に主張し、まっとうな行政に戻す努力を最後まで行うべきだった」と発言したとの記事を載せている。
前川氏は今年1月20日、元高等教育局長の早稲田大教授への再就職に端を発した組織的な天下りあっせん問題の責任を取って辞任。3月にまとめられた天下り問題の最終報告書は、前川氏が大学や企業など7法人のあっせんに関与したとして懲戒処分の「停職相当」と指摘した。