金塊密輸関与で韓国人4人再逮捕
福岡県警などは24日、韓国から金塊6キロを密輸しようとしたとして韓国人4人を関税法違反(無許可輸入未遂)と消費税法違反容疑などで再逮捕した。4人は福岡空港から香港に現金約7億3500万円を無許可で持ち出そうとしたとして関税法違反(無許可輸出未遂など)容疑で逮捕、起訴されていた。その後の捜査で福岡-韓国-香港を結ぶ金塊密輸ルートが浮かび上がり、県警は4人が韓国を拠点に暗躍する大規模な密輸組織のメンバーとみて調べている。【宗岡敬介、志村一也】
再逮捕されたのは、自称車両販売業、イ・ヒョンウ(34)▽自称会社員、ビョン・ソンフン(35)▽自称アルバイト、ハ・ソンジン(31)▽自称個人輸入業、パク・ジェヨン(36)の4容疑者。
逮捕容疑は4月13日、別の韓国人で自称建設作業員の男(54)と共謀し、韓国・仁川(インチョン)国際空港で金塊6個(2800万円相当)をキャリーバッグに隠して福岡空港行きの航空機に搭乗。無申告で金塊を輸入しようとし、消費税約220万円を免れようとしたとしている。県警は4人の認否を明らかにしていない。
県警などによると、運び屋の男はインターネットサイトの求人に応じ、金塊を受け取って福岡空港で迎えの人物に渡すよう指示された。金塊は福岡空港の入国検査で見つかり差し押さえられた。容疑を認めて帰国し、任意の事情聴取に応じている。
香港で買い付け、韓国で運び屋に
福岡市では4月20日、東京都の会社員男性が金塊取引のため銀行から引き出したばかりの現金3億8400万円を奪われる事件が発生。直後に福岡空港で現金約7億3500万円を所持して香港行きの航空機に搭乗しようとしている韓国人4人が見つかり、福岡県警が関税法違反容疑で逮捕して関連を調べていた。
捜査関係者によると、その後の捜査で、4人の携帯電話には強奪事件の1週間前に福岡空港で金塊密輸未遂事件を起こした韓国人の男ら複数の氏名や外見の特徴などを記した個人情報が記録されていたことが判明。個人情報は面識のない運び屋を識別するために使ったとみられる。密輸組織関係者とみられる人物との通話履歴もあり、4人が組織のメンバーであることが分かった。
4人は「現金は高級外車フェラーリの購入資金だった」と説明しているが、観光目的で繰り返し福岡を訪れており、県警は香港で金塊を買い付けるための資金だった可能性もあるとみて調べている。
また、福岡空港には他にも数十人の運び屋が何度も出入りしていることが確認された。ほとんどの運び屋は入国検査を通り抜けたとみられ、金塊が福岡から大量に流入している可能性があるという。
関係者によると、香港は金取引に消費税がかからず、輸出規制もほとんどないため、アジアの一大取引地になっている。密輸組織は香港で金塊を買い付けて韓国・仁川国際空港に運び、入国せずに国際線のトランジットエリアで日本への出国手続きをした運び屋に渡すなどしている。日本に輸出する際は申告して消費税8%を払う必要があるが、密輸して日本国内で転売すれば消費税分をまるまるもうけることができる。
さらに入国検査で見つからないために金塊を小分けにし、複数の一般市民を運び屋として使っているとみられる。3月に韓国から福岡空港に金塊約3キロを持ち込もうとして逮捕された大阪市職員の男は、パチンコ仲間に頼まれて1回当たり14万円の報酬で過去に3回密輸したという。