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【経済】

「クラスター弾」企業、日本4社が投融資 NGO報告書

クラスター弾製造企業への投融資反対について話すフィロズ・アリザダさん(右)とマイッケ・ベネシュさん(左)=24日、参院議員会館で(由木直子撮影)

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 非人道兵器として知られる「クラスター弾」の廃絶を目指す国際的な非政府組織グループ「クラスター兵器連合(CMC)」は、世界の金融機関百六十六社が四年間で合計三百十億ドル(約三兆四千億円)を製造企業に投融資していたとする報告書をまとめた。日本からは四社で計約二千百億円を投融資し、製造企業への「援助」などを禁じた国際条約の加盟国の中では社数、金額ともに最多となった。 (渥美龍太)

 クラスター弾は無数の子爆弾をばらまいて無差別に殺傷する兵器。不発弾も多く停戦後に民間人の二次被害の事例が頻発している。現在、百カ国以上が禁止条約に加盟している。

 CMCの調査は二〇一三年六月〜一七年三月で、米国、中国、韓国の製造企業へ投融資した額で、一定割合以上だった金融機関を抽出。前回調査(昨年六月公表)から、社数が八、金額は三千億円増えた。大半は米国や中国など条約非加盟国の金融機関で、最高額は米国のT.ロウ・プライス社(二千四十億円)だった。

 カナダや英国など条約加盟国では十五社が挙がり、日本は三菱UFJフィナンシャル・グループ(千二十億円)、三井住友フィナンシャルグループ(六百七十億円)、オリックス(三百九十億円)、第一生命保険(四十億円)の四社。前回に比べて、社数で一減したものの、金額は三百億円増えた。各社とも「コメントは差し控える」とした。

 日本の全国銀行協会は一〇年、クラスター弾の製造を目的とした銀行融資を禁じた。だが、中央大の目加田説子教授は「条約加盟国では、使途に関係なく製造企業への投融資をすべて止めねば対応が不十分との見方をされる」と話す。

 報告書をまとめたマイッケ・ベネシュさんらは二十四日、都内で国会議員と面会し「投融資を禁じる法整備が必要だ」と主張。日本の公的年金を運用する「GPIF」も製造企業に投資しており、意見交換した。

 

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