(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年5月23日付)
ベネズエラ・カラカスで、機動隊と衝突する反政府デモの参加者ら(2017年5月10日撮影)。(c)AFP/JUAN BARRETO〔AFPBB News〕
この2カ月間でベネズエラの街頭に大挙して繰り出した反政府デモ参加者らは、パンやコメ、小麦粉、医薬品などの基本的な生活必需品が不足しているが、1つ、ふんだんに持っているものがある。独創性がそれだ。
3月下旬にニコラス・マドゥロ大統領の権威主義的な政府に対する抗議が始まって以来、デモ参加者はあらゆるものを治安部隊に向かって投げつけてきた――糞(ふん)も含めて、だ。
ある日には、数千人の女性が平和のシンボルとして白い洋服をまとい、首都カラカスを行進した。別の日には、学生が、そして次にミュージシャンがデモを主導した。現地のジャーナリストらは、催涙ガスが立ち込める中、上半身裸で街頭に立ち、バイオリンで国歌を演奏する若い男性の驚くべき映像をとらえた。
デモ隊は「マルチャ・デ・ラ・ミエルダ(くそ行進の意)」を行い、いつもの石や火炎瓶だけでなく、糞が入ったビンや袋を治安部隊に投げつけた。
次に、ベネズエラの祖父母たちが登場した。厳重に武装した国家警備隊が年金生活者を突き飛ばす様子は、さまざまなソーシャルメディアで広められた。アラブの春と同じようにベネズエラでも、ソーシャルメディアは反体制派の強力な武器となっている。
5月16日には、恐らくはこれまでで最も胸を打つ行進で、数千人のデモ参加者が最近では大半の人がやるのを恐れることをやった。抗議デモで命を落とした40人以上の犠牲者を追悼する徹夜の祈りのために、カラカスの危険な街頭を夜に歩いたのだ。