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【政治】

「共謀罪」「9条改憲」… 首相の政策、五輪に便乗

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 安倍政権が実現を目指す主要政策に、二〇二〇年を目標や節目にするものが目立つ。二十三日に衆院通過した「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案は二十年東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策と位置付けており、その代表例といえる。ただ、その年にこだわる根拠は乏しい。(古田哲也)

 安倍晋三首相は「共謀罪」法案の衆院通過を受け、二十六日からイタリアで開幕する先進七カ国首脳会議(G7タオルミナサミット)でも、法案を成立させて東京五輪に向けたテロ対策強化を進めると各国に説明する機会をうかがう。

 首相は今国会の冒頭から、二〇年の東京五輪を「必ず成功させる」と強調。テロなど組織犯罪への対策を強化すると表明した。〇〇年に国連が採択した国際組織犯罪防止条約を締結すれば、他国から情報を得やすくなるとして、三月に提出したのが「共謀罪」法案だ。

 だが、条約はマフィアの資金洗浄防止などが主な目的で、テロ対策が主眼ではない。五輪に便乗し、条約を拡大解釈したと野党などから批判されている。

 首相は戦争放棄・戦力不保持をうたう憲法九条に自衛隊の存在を明記した条文を新たに追加するとした「九条改憲」でも、東京五輪を持ち出した。

 首相は「私はかねがね、五輪が開催される二〇年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきた」として、改憲して二〇年施行を目指すと表明した。ただ、五輪と改憲は関係ない。

 ほかにも、財政健全化に向けた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化も、二〇年度達成を目標にする。しかし、赤字幅の拡大で実現は難しい。

 一億総活躍社会を目指すアベノミクス「新三本の矢」でも、名目国内総生産(GDP)六百兆円、希望出生率一・八、介護離職ゼロの目標は、一五年九月の発表当初に「節目は二〇年」とした。ただ、昨年六月に示した具体的な工程表では、実現時期を二一年度や二五年度にした。

 共謀罪や改憲に比べて、首相は最近、プライマリーバランスと新三本の矢については積極的に言及しているようにみえない。

 

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