最近、読んだ本のご紹介。
マンションが日本人を幸せにするか否かは置いておき・・(笑)「分譲マンションと賃貸では何が違うの?」を知るためにオススメの1冊。
強すぎる区分所有権の保護
「ひとつの建物を多くの人で分けて『所有』する」のが分譲マンション。
各住戸のオーナーを『区分所有者』と呼び、これに関する法律が「区分所有法」。
区分所有法には、良いも悪いもありますが、榊さんは本の中で、幾つかの問題点を指摘しています。例えばこちら(ほんの一部ですが)
- 理事長になれば何でもできる
- 管理規約の変更は困難
- 「民泊禁止」の難しさ
- 建て替えのハードルは高い
いづれも、実際の事例を元に書かれてます。
「これから分譲マンションを買う人 or 初めて分譲マンションに住む人」にとっては「?」かもしれないですが、これが分譲マンションの実情。
悪意ある理事長
「理事長になれば何でもできる」の一文だけでは誤解を招きそうなので補足。
これは、区分所有権が強すぎるがゆえ(理事長の悪意を前提とした規定が区分所有法にないため)、理事長の不正までもが、時にはまかり通ってしまうケースがあるということ。
もちろん、そんなマンションばかりではないのでご安心を!(ただ、悪意ある理事長が現れれば危険なのでご注意ください・・。)
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タワーマンションに潜む健康問題
アレルギーとの関係や、階層ヒエラルキーなど、この章に書かれているものは、どれも興味深い内容でした。中でも驚いたのが、
心肺停止の患者、25階以上で生存率ゼロ
という衝撃的なタイトル。2016年カナダの医師会「CMAJ」に発表された研究結果だそうです。
2007年〜2012年にトロント市などで、心停止で病院に運ばれた人のうち、居住階が分かった7842人を対象に調査を行った。
病院に運び込まれた患者のうち、生きて退院できた割合は、1〜2階の4.2%(5998人中25人)に対して、
3階以上の住民では2.6%(1844人中48人)、そのうち16階以上の住民では0.9%(216人中2人)。
そして、25階以上ではなんとゼロ(30人中)だった。
対象となる人数にバラツキがあるので「絶対」とは言えないですが「救出に時間がかかる」ことが、大きく影響するのかと。 また、「高所平気症」についてのくだりも、気になります。(詳細は本をお読みください!)
おわりに
分譲マンションは、買ってよし&買って終わりではないんだと、つくづく感じます。この点では、戸建以上に『政治(=管理組合)』が絡んできます。
とは言え、住んでみないと分からないことですが「マンションの仕組み」を知ることは、とても大切なこと。知らない人が案外多いと思うんです。
本には他にも「マンション業界のユニクロ」と榊さんが例える「長谷工プロジェクトのマンション」についてや、ディベロッパー&不動産営業についての話など、業界の裏側?も書いてあり、わたしも勉強になりました。
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