大学の授業料どうなるの?
今月22日、自民党の教育再生実行本部が、安倍総理大臣にある提言を提出しました。提言では、「教育格差の問題の放置は、経済的格差の固定化や拡大という深刻な危機をもたらしつつあり、一刻の猶予も許されない」として、大学などに在学している間は授業料を「無償とする」としています。そのうえで、卒業後、一定の年収を超えた場合は、収入に応じて国に納付してもらう仕組みを検討するとしています。提言を受けて、安倍総理大臣は、「政府・与党が一体となってしっかり検討したい」と応じました。オーストラリアが採用している同様の制度を参考にしたという今回の自民党の提言ですが、インターネット上ではいま「無償」という言葉をめぐって多くの疑問が投げかけられ議論を呼んでいます。なぜなのでしょうか。(報道局 岡崎靖典記者 岡田真理紗記者)
ネット上で多く見られるのは、「“無償”という言葉に違和感を感じる」という意見です。「返す必要があるものを“無償化”とは言わない」、「実際は“ツケ払い”ではないか」といった指摘が相次ぎました。また、「無利子の奨学金とどう違うのか」、「卒業後の一定の年収とはいくらなのか」など、制度の具体的な中身について詳しく知りたいという声も多く見られました。
一方で、「制度の考え方としてはおかしくない」、「検討してみたら良いと思う」などの意見もありました。
一方で、「制度の考え方としてはおかしくない」、「検討してみたら良いと思う」などの意見もありました。
ネット上では
ネット上で多く見られるのは、「“無償”という言葉に違和感を感じる」という意見です。「返す必要があるものを“無償化”とは言わない」、「実際は“ツケ払い”ではないか」といった指摘が相次ぎました。また、「無利子の奨学金とどう違うのか」、「卒業後の一定の年収とはいくらなのか」など、制度の具体的な中身について詳しく知りたいという声も多く見られました。
一方で、「制度の考え方としてはおかしくない」、「検討してみたら良いと思う」などの意見もありました。
一方で、「制度の考え方としてはおかしくない」、「検討してみたら良いと思う」などの意見もありました。
授業料はどうなるの?
卒業後に返すのであれば無償とは言えないのではないか。こうした疑問は、自民党内の検討の場でも投げかけられたそうです。しかし、あえて無償という言葉を使ったのには理由があると言います。
提言では、「授業料を無償とし、卒業後の所得のうち一部を次世代の高等教育を支えるための貢献費として納付する仕組みを導入する」としています。
つまり、卒業後に納付してもらうお金は、本来支払うはずだった授業料そのものではなく、次世代のための「貢献費」と位置づけているからだと説明しています。
提言では、「授業料を無償とし、卒業後の所得のうち一部を次世代の高等教育を支えるための貢献費として納付する仕組みを導入する」としています。
つまり、卒業後に納付してもらうお金は、本来支払うはずだった授業料そのものではなく、次世代のための「貢献費」と位置づけているからだと説明しています。
制度の議論はこれから
では、一定の年収を超えた場合に納付するとされた「貢献費」。一定の年収とはいくらを想定していて、実際の納付額はどうなるのか。
提言では、新たな仕組みについて、2020年度からの本格的開始を目指して、「納付額の設定や納付を開始する収入額、年収に対する納付割合の設定など、さまざまな課題を検討する」としています。
つまり現時点では制度の詳細は定まっておらず、まさにこれから議論されることになっています。
提言では、新たな仕組みについて、2020年度からの本格的開始を目指して、「納付額の設定や納付を開始する収入額、年収に対する納付割合の設定など、さまざまな課題を検討する」としています。
つまり現時点では制度の詳細は定まっておらず、まさにこれから議論されることになっています。
オーストラリアの場合は
ちなみに、自民党が制度の参考にしたというオーストラリアでは、現在どうなっているのか。
文部科学省によりますと、オーストラリアでは、大学などに在学している間、基本的に授業料はかかりません。そして卒業後に年収が円に換算しておよそ450万円に達した段階で、年収の4%およそ18万円の納付が始まります。年収に応じて最大で8%の納付が授業料分の返済が終わるまで続き、利子はないということです。一方で、年収が450万円に達しない場合は、納付する必要はありません。
これはあくまでもオーストラリアのケースですが、今後、さまざまな事例も参考にしながら議論が進められるものとみられます。
文部科学省によりますと、オーストラリアでは、大学などに在学している間、基本的に授業料はかかりません。そして卒業後に年収が円に換算しておよそ450万円に達した段階で、年収の4%およそ18万円の納付が始まります。年収に応じて最大で8%の納付が授業料分の返済が終わるまで続き、利子はないということです。一方で、年収が450万円に達しない場合は、納付する必要はありません。
これはあくまでもオーストラリアのケースですが、今後、さまざまな事例も参考にしながら議論が進められるものとみられます。
財源も大きな課題
自民党が今回示した提言。新制度を導入するための財源をどうまかなうのかも大きな課題です。
オーストラリアでは制度創設のための財源に国債が充てられていて、今回の提言でも、選択肢のひとつに挙げられています。ただ、国債の発行は将来の世代に負担を先送りすることになってしまうとして、慎重な意見も根強くあります。さらに提言では、消費税や相続税、所得税のほか、法人税による財源確保も候補になるなどとされていて、財源をどうまかなうのかは焦点のひとつとなりそうです。提言を受けて、安倍総理大臣は、今後、政府・与党が一体となってしっかり検討していきたいという考えを示しています。
大学などの高等教育の費用を誰がどのように負担していくのか、今後の議論の行方から目を離せそうにありません。
オーストラリアでは制度創設のための財源に国債が充てられていて、今回の提言でも、選択肢のひとつに挙げられています。ただ、国債の発行は将来の世代に負担を先送りすることになってしまうとして、慎重な意見も根強くあります。さらに提言では、消費税や相続税、所得税のほか、法人税による財源確保も候補になるなどとされていて、財源をどうまかなうのかは焦点のひとつとなりそうです。提言を受けて、安倍総理大臣は、今後、政府・与党が一体となってしっかり検討していきたいという考えを示しています。
大学などの高等教育の費用を誰がどのように負担していくのか、今後の議論の行方から目を離せそうにありません。