トランプ大統領 ローマ法王と会談 去年の選挙であつれき

トランプ大統領 ローマ法王と会談 去年の選挙であつれき
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アメリカのトランプ大統領は中東に続いてヨーロッパ訪問を始め、バチカンで、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王と会談しました。法王とは、去年の選挙中にあつれきも生じましたが、会談後、トランプ大統領は「これまで以上に世界の平和を追い求める気持ちが強まった」とツイッターに投稿しました。
就任後、初の外国訪問を続けているトランプ大統領は24日、滞在先のローマからバチカンに向かい、スイス人の衛兵の先導でローマ・カトリック教会のフランシスコ法王の待つ部屋までゆっくりとした足取りで向かいました。そして、うやうやしい態度で法王と握手を交わすと、神妙な面持ちで机を挟んで向き合い、会談が始まりました。
去年のアメリカ大統領選挙では、「国境に壁を作る」などと過激な発言を繰り返すトランプ氏について、フランシスコ法王は「キリスト教徒の発言ではない」と批判しました。
これに対し、トランプ大統領は「宗教指導者が、個人の信仰に疑いを差し挟むことは恥ずべきことだ」と反論し、その直後に「法王とは争いたくはないし、争いだとは思っていない」と述べるなど、あつれきが生じたいきさつがあります。
トランプ大統領とフランシスコ法王は30分間、2人だけで会談し、内容は明らかになっていませんが、温暖化など、地球規模の問題をめぐって、意見を交わしたものと見られます。
会談の後、双方は贈り物を交換し、フランシスコ法王は平和の象徴であるオリーブの枝が刻まれたメダルと環境保護の重要性を説いた文書などを贈り、トランプ大統領は、公民権運動の指導者のキング牧師の著書などを贈呈しました。
会談を終えたトランプ大統領は、みずからのツイッターに「バチカンを訪れ、これまで以上に世界の平和を追い求める気持ちが強まった」と投稿しました。
トランプ大統領は、今週開かれるG7=主要7か国の首脳会議の議長国を務めるイタリアのジェンティローニ首相らとも会談したあと、NATO=北大西洋条約機構の首脳会議に出席するため、次の訪問国のベルギーに向かいました。

ローマ法王 トランプ大統領に苦言

フランシスコ法王は、これまでトランプ大統領の選挙期間中から難民問題や地球温暖化に対する姿勢に懸念を示してきました。

ことし1月にトランプ大統領が就任した際、法王はメッセージを送り、「人類が深刻な人道危機に見舞われている今、政治家には広い視野を持ち各国と連携して対応に当たることが求められている。あなたが世界中で人間の尊厳と自由を守るために貢献してきたアメリカを体現するような、豊かな精神性と倫理観を持って決断を行っていくよう祈ります」として、アメリカの国益を最優先にしようとするトランプ大統領をけん制しました。

その後、ことし2月には、トランプ大統領が意欲を示しているメキシコとの国境沿いの壁の建設をめぐって、「壁ではなく橋を造るべきだ。ましてキリスト教徒ならばその費用を払え、などとは言わない」と述べて非難していました。