相続税の申告 「全員連名」でなきゃダメなの? 税理士 内藤 克
「そうとは限りませんよ。本来は相続人それぞれが申告するのが原則なんですから」
「そうなんですね。実は私、姉ともめてまして、姉は私とは別に申告したいと言うんです」
「ほう。どうしてですかね」
「どうやら私の知らないところで父から生前贈与を受けていたようで、それを私に隠し通したいようなんです。私はうすうす分かっているんですけど」
「そうですか。それなら……」
遺産分割には期限がありません。一方、相続税の申告には相続開始(親の死亡など)から10カ月以内という期限があります。申告期限が近づくことにより「そろそろ分割の話し合いをするか」と重い腰を上げるケースが多いのを見ると、相続税申告が分割協議の節目になっているのかもしれません。
通常は、相続税の申告期限までに遺産分割協議を終えて、相続税申告書を「相続人連名で」提出することになりますが、最近は「相続人がそれぞれ別に相続税の申告を提出したい」というケースを見かけるようになってきました。
■本来は別々に申告することに
相続税の納税義務者は、相続税法第1条で「相続または遺贈により財産を取得した者」とされています。そして被相続人や相続人がどこに居住しているかによって、課税される財産の範囲が決まってきます。また納税地はそれぞれの相続人の住所地とされており(相続税法第62条)、「同じ所轄税務署(申告書を提出する税務署)に複数相続人がいる場合には一つの申告書に連名で申告することができる」と規定されています。
つまり本来、相続人はそれぞれ自分の住所の近くの税務署に申告するが、たまたま近所であれば一つの申告書に連名で申告してもいいよ、というのが原則なのです。
ところが相続税法の付則で「当分の間、相続税本則にかかわらず被相続人の死亡の時における住所地とする」とも規定されているので、それを受けて一つの申告書に全員の連名で申告をするのが通常のパターンになっているのです。
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