商工中金 きょうにも金融庁が立ち入り検査
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政府系金融機関の「商工中金」が、中小企業を支援する国の制度で不正な融資を繰り返していた問題で、金融庁は不正が全国的に行われた原因などを詳しく調べるため、24日にも商工中金への立ち入り検査に乗り出す方針です。
商工中金は、災害や円高などで資金繰りが悪化した中小企業に資金を貸し付ける国の制度で不正な融資を全国の支店で繰り返し、本部の職員が不正を隠蔽していたことも明らかになっています。
この問題で商工中金が設けた第三者委員会は、一連の不正について経営陣からの直接の指示はなく、組織的な隠蔽も認められなかったと結論づけています。しかし、金融庁は、不正が全国的に行われた原因を詳しく調べる必要があるとして、24日にも、経済産業省や財務省とともに、商工中金の本店などに立ち入り検査に乗り出す方針です。
検査では、金融庁の検査官などおよそ15人が資料の分析や聞き取り調査を行い、不正が広がった原因や、経営陣の関与が本当になかったのかなどを調べることにしています。この問題で、政府は今月9日、商工中金に対し、原因の究明などを求める業務改善命令を出していますが、立ち入り検査の結果、必要があれば、追加の処分を検討する方針です。
この問題で商工中金が設けた第三者委員会は、一連の不正について経営陣からの直接の指示はなく、組織的な隠蔽も認められなかったと結論づけています。しかし、金融庁は、不正が全国的に行われた原因を詳しく調べる必要があるとして、24日にも、経済産業省や財務省とともに、商工中金の本店などに立ち入り検査に乗り出す方針です。
検査では、金融庁の検査官などおよそ15人が資料の分析や聞き取り調査を行い、不正が広がった原因や、経営陣の関与が本当になかったのかなどを調べることにしています。この問題で、政府は今月9日、商工中金に対し、原因の究明などを求める業務改善命令を出していますが、立ち入り検査の結果、必要があれば、追加の処分を検討する方針です。
不正の内容は
今回、商工中金による不正が明らかになったのは、「危機対応業務」と呼ばれる国の制度を使った融資です。
この「危機対応業務」は、リーマンショックを受けて平成20年につくられた制度で、金融危機や大規模な災害、それに円高などによって一時的に資金繰りが悪化した中小企業に融資などを行います。商工中金は、この業務を行うために、国の指定を受けた金融機関の1つです。
今回の不正は、去年10月、鹿児島支店の管理職が企業の書類が改ざんされた可能性があることに気付き、支店内で聞き取り調査をしたところ、担当者2人が改ざんを認めたことから発覚しました。
商工中金は、去年12月に、外部の弁護士でつくる第三者委員会を設け、「危機対応業務」の融資全体のおよそ12%を対象に調査を行いました。先月、第三者委員会が発表した調査結果では、全国各地の支店で99人の職員が合わせて816件の不正にかかわり、本来、対象とならない企業に行われた融資は、総額で198億円に上るとしています。
具体的な不正の方法としては、例えば、この制度で融資を受けられるように、商工中金の職員が企業の業績を実際より悪い内容に見せるため書類を作成したり、改ざんしたりしたケースがあったということです。また、企業が従業員を減らさずに雇用を維持した場合に、利子の一部を日本政策金融公庫が負担する仕組みを利用しようと、従業員の数を実際よりも多く偽って書類を作成したケースもあったということです。
商工中金では、「危機対応業務」による融資の実績が支店を評価する指標の1つとされていることから、現場ではボーナスなどに影響する「事実上のノルマ」と受け止められていたということです。
さらに、東京の池袋支店では、平成26年から27年にかけて、不正な融資などが110件あることが確認されていましたが、本部の「コンプライアンス統括室」が中心になって不正を隠蔽していたと指摘しています。
この「危機対応業務」は、リーマンショックを受けて平成20年につくられた制度で、金融危機や大規模な災害、それに円高などによって一時的に資金繰りが悪化した中小企業に融資などを行います。商工中金は、この業務を行うために、国の指定を受けた金融機関の1つです。
今回の不正は、去年10月、鹿児島支店の管理職が企業の書類が改ざんされた可能性があることに気付き、支店内で聞き取り調査をしたところ、担当者2人が改ざんを認めたことから発覚しました。
商工中金は、去年12月に、外部の弁護士でつくる第三者委員会を設け、「危機対応業務」の融資全体のおよそ12%を対象に調査を行いました。先月、第三者委員会が発表した調査結果では、全国各地の支店で99人の職員が合わせて816件の不正にかかわり、本来、対象とならない企業に行われた融資は、総額で198億円に上るとしています。
具体的な不正の方法としては、例えば、この制度で融資を受けられるように、商工中金の職員が企業の業績を実際より悪い内容に見せるため書類を作成したり、改ざんしたりしたケースがあったということです。また、企業が従業員を減らさずに雇用を維持した場合に、利子の一部を日本政策金融公庫が負担する仕組みを利用しようと、従業員の数を実際よりも多く偽って書類を作成したケースもあったということです。
商工中金では、「危機対応業務」による融資の実績が支店を評価する指標の1つとされていることから、現場ではボーナスなどに影響する「事実上のノルマ」と受け止められていたということです。
さらに、東京の池袋支店では、平成26年から27年にかけて、不正な融資などが110件あることが確認されていましたが、本部の「コンプライアンス統括室」が中心になって不正を隠蔽していたと指摘しています。
なぜ金融庁主導で検査
商工中金は、経済産業省と財務省、それに金融庁の3つの省庁が共同で所管していますが、現在の安達健祐社長をはじめ、歴代のトップを送り込んできた経済産業省との関わりが最も深いとされています。今月9日に政府が出した業務改善命令も、経済産業省が中心になって作成されました。
しかし、処分の前提となった調査結果は、商工中金がみずから設置した第三者委員会がまとめたもので、調査の対象は、問題となった制度による融資全体の10%余りの件数にとどまっています。そのうえ、商工中金のいわば「身内」ともいえる経済産業省の主導による調査や処分では、不正の実態や経営陣の関与を本当に解明できるのか、不信感が広がっているのが実情です。
このため、金融機関の検査を専門とする金融庁が主導する形で立ち入り検査を実施し、政府は、必要があれば、追加の処分を検討することで、こうした不信感を払拭(ふっしょく)する狙いがあるものと見られます。
第三者委員会がまとめた調査結果では、一連の不正について、本部の職員が隠蔽に関わっていたものの、「経営陣の直接的な指示はなかった」と結論づけています。この中では経営陣の対応について、経済産業省の元事務次官である商工中金の前の社長が、不正の疑いがあるという最初の報告を聞いて、「何やってんだ」と常務を叱責し、国の制度融資の指定金融機関の資格を剥奪されるような最悪の事態を想定すべきだなどと強い危機感を示したことを明らかにしています。
しかし、前の社長は、不祥事として届け出る必要はないという内部の調査に疑問をもたず、そのまま了承しており、第三者委員会はトップマネジメントの対応に不十分な点があったと指摘しています。全国の支店に不正な融資が拡大し、何度も繰り返された根本的な原因がどこにあるのか、徹底した解明が求められています。
しかし、処分の前提となった調査結果は、商工中金がみずから設置した第三者委員会がまとめたもので、調査の対象は、問題となった制度による融資全体の10%余りの件数にとどまっています。そのうえ、商工中金のいわば「身内」ともいえる経済産業省の主導による調査や処分では、不正の実態や経営陣の関与を本当に解明できるのか、不信感が広がっているのが実情です。
このため、金融機関の検査を専門とする金融庁が主導する形で立ち入り検査を実施し、政府は、必要があれば、追加の処分を検討することで、こうした不信感を払拭(ふっしょく)する狙いがあるものと見られます。
第三者委員会がまとめた調査結果では、一連の不正について、本部の職員が隠蔽に関わっていたものの、「経営陣の直接的な指示はなかった」と結論づけています。この中では経営陣の対応について、経済産業省の元事務次官である商工中金の前の社長が、不正の疑いがあるという最初の報告を聞いて、「何やってんだ」と常務を叱責し、国の制度融資の指定金融機関の資格を剥奪されるような最悪の事態を想定すべきだなどと強い危機感を示したことを明らかにしています。
しかし、前の社長は、不祥事として届け出る必要はないという内部の調査に疑問をもたず、そのまま了承しており、第三者委員会はトップマネジメントの対応に不十分な点があったと指摘しています。全国の支店に不正な融資が拡大し、何度も繰り返された根本的な原因がどこにあるのか、徹底した解明が求められています。