前回、絞りに不具合があると発覚した一眼レフの交換レンズ Tamron 472D
納得がいかないので再度修理に挑戦した。
結論を最初にいうと、またしても失敗である。毎度役に立たないブログで申し訳ない。
前回ブックマークで、むしろ「絞り羽根は脱脂」とコメントを戴いた。
四半世紀以前に製造されたマニュアルフォーカスのレンズなどは金属部品が多く、部品の滑りをよくするためオイルやグリスが使われている。それらが古くなって揮発成分が抜けると固まってしまう為、可動不能となる事が多い。
だから、それらの油分を取り除く事は、確かに理にかなっている。
ネットをググると、オールドレンズの分解修理法の動画がいくつか見つかる。
絞りが粘ってゆっくり閉じるようなレンズに、精密機械用のクリーナースプレーを吹きかける様な例も見られる。
だが、この Tamron 472D は古いとはいえ比較的新しいAFレンズで、金属部品は少なく、エンジニアリングプラスチックが多用されている。
絞りも羽は金属部品だが、可動部の軸受けはプラスチックでオイルレスでも滑りが良いように作られている。
症状も粘った動きではなく、普段はシャカシャカ軽快に動作するのだが、動作させるレバーの押し具合によっては、引っ掛かりが生じてしまうという物である。
脂気は元々無く、むしろ注油した方が良いと判断したのだが……
脱脂が効果的なのか、半信半疑であるが、取り合えずやってみる事にした。
端折ってしまって悪いが、絞りが内蔵されているレンズユニットを鏡筒から取り出した。横に大きさ比較で58mmΦのレンズキャップを置いた。
ユニットの下の方に真鍮製のピンが出ていて、それを左右にスライドすると、絞り羽が開閉する。
絞りを全閉した状態。
絞りユニットをレンズユニットから取り外した状態。
止めている粘着テープを剥がし、プラスチックの爪を静かに起こして、ゆっくり取り外す。あわててパチンと外すと、絞り羽の部品がバラバラになってしまうので気を付ける。
絞りユニットから、絞り羽を開閉するカムの溝が切られたプレートを取り外す。
これを外すときは、絞り羽は全開状態にした方が、羽の向きがバラバラにならないので、やりやすい。
軸受けから一枚一枚、丁寧に絞り羽を取り外す。
通常絞り羽は6枚である場合が多いが、このレンズは絞り形状を円形に近づける為に9枚になっている。
羽の材質は金属だが、紙の様にペラペラなので、曲げないよう細心の注意で扱う。
ここまでバラしたら、後は無水エタノールをかけて洗浄する。
パーツを一つずつ、ティッシュペーパーの上に乗せ、スポイトなどで無水エタノールを垂らして、脂分や汚れなどをティッシュに吸収させる。
一つ洗ったら、また新しいティッシュを用意して、同様に洗っていく。
キムワイプの方が良いけど、そんなものは持っていない。
こすらなければ毛羽は立たないので、液を吸わせるだけである。
全部のパーツが終わったら、また絞りユニットを組み立て直す。
さてさて、結果はどうなったか?
な、な、何と引っ掛かりが無くなった!
最初に、失敗したと書いたが、この時点では成功である。
絞りユニット単体では、カシャカシャとスムーズに動き、当初あったピンの押し方による引っ掛かりはなくなっていた。
脱脂の効果か、別の汚れがあったのかは分からないが、とにかくスムーズに動くようになった。
というわけで、喜び勇んでレンズ全体を組み直して、テスト撮影をやってみた。
果たして結果は……
ガーン!またしても真っ白な写真が撮れてしまったorz
ダメである。
念の為、カメラに取り付ける前にもレバーをカシャカシャはじいてみたが、その時も引っ掛からなかった。
ところが、取り付けて写してみると失敗するのだ。
他のレンズでは失敗しないので、カメラボディ自体の故障ではない。
いろいろやって分かったのが、 レンズの前面を下にして立てた状態ではOKなのだが、横に倒して、つまり撮影状態の向きにすると、ダメなのである。
一応、以前よりは多少マシになった気はする。
だが、完治には程遠い状態なので、また分解することになりそうだ。