田中恭太、鈴木春香
2017年5月24日20時36分
「LINEしませんか」。愛知県内で4月中旬、20代の女性の携帯電話に突然、見知らぬ男からこんなショートメールが届いた。送り主は、さっき自宅に荷物を持ってきたあの配達員――。伝票のように人目に触れる個人情報は少なくない。悪用を防ぐ手立てはあるのか。
ヤマト運輸などへの取材によると、男は同社が委託する配達会社の社員。女性に荷物を手渡した約30分後、自分の携帯電話からメールを送っていた。ヤマト運輸の調査に、男は「宅配伝票で番号を知った」と説明したという。男は契約解除され、県警からストーカー規制法に基づく警告を受けた。
宅配伝票で電話番号を知られ、トラブルとなった事例は過去にもある。東京都内では昨年、コンビニから宅配便を出した女性が、店舗の経営者から脅迫電話を受けたとしてフランチャイズ本部などを訴えた(後に和解)。奈良市では配達先の女子大学生にひわいな内容の電話をかけたとして今年3月、元配送業の男が県迷惑防止条例違反容疑で書類送検されている。
こうしたトラブルについて、個人情報の保護に詳しい新潟大学の鈴木正朝教授(情報法)は、個人情報保護法が禁じる個人情報の目的外利用と解釈できると指摘し、「事業者が社員教育などを通じて自主的に防ぐべきものだ」と話す。今回の事案を受け、国土交通省愛知運輸支局は4月下旬、ヤマト運輸中部支社に再発防止策の聞き取りをしたという。
ヤマト運輸によると、伝票への…
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朝日新聞社会部