現代無政府資本主義の先駆者
原著:Anarcho-Capitalism: An Annotated Bibliography
著者:Hans-Hermann Hoppe
日付:2001/12/31
当代の無政府資本主義的な知的運動には、19~20世紀初期の数人の傑出した先達がいた。ハーバート・スペンサー流儀の土地所有権の論点や、スプーナー・タッカー流儀の貨幣と利子の理論が――ときに不完全であるにせよ、以下の本は不可欠なままであり、ほとんど凌駕されていない。(このリストは年代的かつ体系的であり、アルファベット順ではない。)
グスターヴ・ド・モリナーリの先駆的な1849年の記事『安全保障生産』“The Production of Security”はおそらく現代の無政府資本主義理論へのもっとも重要な貢献である。モリナーリは、独占が消費者に悪いことと、これが保護の独占の場合でも同様であることを論証する。他のあらゆる政策のように、安全生産の領域でも競争を要求せよ。
ハーバート・スペンサーの『社会静学』“Social Statics”はジョン・ロック流儀での自然権の傑出した哲学的議論である。スペンサーは国家を無視する権利を擁護する。また彼の『倫理の原理』“Principles of Ethics”も高く推薦される。
オーバーロン・ハーバートはスペンサーの生徒である。『国家による強制の正と不正』“The Right and Wrong of Compulsion be the State”で、ハーバートは無政府資本主義と論理的に一貫する平等な自由というスペンサー的アイディアを発達させる。ハーバーとはボランタリズム“voluntaryism”の父である。
ライサンダー・スプーナーは19世紀アメリカの弁護士であり、法理論家である。『ライサンダー・スプーナー読本』“The Lysander Spooner Reader”に含まれる『反逆にあらず』“No Treason”を読んで、政府をかつてと同じ目で見られる人はいない。スプーナーは社会契約論を叩き潰す。
個人主義的無政府主義の考えと19世紀アメリカの関連ある運動についての簡略な歴史は、特にスプーナーとベンジャミン・タッカーへの関心は、ジェームズ・J・マーティンの『国家に反対する男たち』“Men Against the State”を。
フランツ・オッペンハイマーは左派無政府主義者のドイツ人社会学者である。『国家論』“The State”で彼は経済的(平和的かつ生産的)および政治的(強制的かつ寄生的)な富の獲得手段を識別し、国家を支配と搾取の道具として説明する。
アルバート・J・ノックはフランツ・オッペンハイマーに影響された。彼は『我々の敵、国家』“Our Enemy, the State”で国家の反社会的で略奪的な本性を説明し、自発的に認められた権威としての政府と国家との間に鋭い区別を引く。ノックは次にフランク・チョドロフに影響し、彼は若いマレー・ロスバードに影響したらしい。チョドロフは『亡命者のエッセー』“Fugitive Essays”という市場賛成・国家反対の政治的かつ経済的な論評のコレクションで、課税を強盗だと攻撃する。
(出典: lewrockwell.com)