血に飢えた「リバタリアン」

原著:Bloodthirsty u2018Libertarians’
著者:ウォルター・E・ブロック
日付:2003/1/11

リバタリアン不侵害公理がリバタリアニズムの本質だ。この公理を捨てたらリバタリアニズムはライブラリズムやベジタリアニズムと同じになるだろう。したがって、人がリバタリアンであるためできなければならないことは、彼が絶対にできなければならないことは、私の意見では、侵害を防衛から区別できることだ。

こんなジョークがある。「トイレとリビングの違いが分かるか? 分からない? へえ、ならウチに来るな。」この精神で問うが、あなたは攻撃と防御の区別がつくか? 侵害と、侵害に対する防衛の区別は? 分からない? ああ、それならリバタリアンを名乗るな。

私にはどんな人をリバタリアン運動から外すこともできない。誰かが私をこの敬称の守護者に任命しているわけではない。私は慎ましい意見を与えようとしているのだ。同じように、もしもあなたがハンマーと鑿を区別できないのであれば、私はあなたを大工だとはみなさないだろう。もしもあなたがブラシとペンキを区別できないのであれば、私はあなたを画家だとはみなさないだろう。まったく同じように、もしもあなたが攻撃と防御を分け隔てて区別することができないのであれば、すなわちあなたがあなた自身を攻撃してこないような他人に対しての先制攻撃の正しさを信じているのであれば、たとえあなたが自由企業に賛成したり、かつ自発的な成人行動の犯罪化に反対したりするとしても、私はあなたをリバタリアンだとみなすことができない。

とても精通した重要なリバタリアンたちにも同意のない領域がある。ミナキズムかアナキズムか、移民、中絶、不可譲性、処罰理論。私はこれらのすべてに断固たる見解をもつけれど、他方の側にもリバタリアン的な議論があることを認めている。しかしこの論点は別だ。

私があなたの鼻を実際に殴るまで、あなたが私に対して暴力的な行為をとるのを待つ必要はない。私のこぶしがあなたの方へ動いてゆき、あなたの1メートル以内に入るのさえ待たなくていい。しかし、もしもあなたが私を引っ張って私の鼻を殴り、先制して打撃を加えるならば、私はそれゆえに将来あなたを殴るだろうし、そのときあなたは侵害者だ。

あなたが火星人だとして、地球を見下ろし、地球上のどの国が侵略国であり、どれがそうでないか(つまり防衛国か)を知ろうとしているとしよう。あなたは特に目が良い。なのであなたは制服や国旗などを実際に見ることができる。ルリタニアという一つの国が他の国民の領域に兵士を置いており、あらゆる海に水兵を置いているのに気づく。

他の国のモルダビアは軍事力を持っており、あなたは他の国モルダビアが自国よりも他の数国に軍事力を置いていることに気づく。以上。他の国は外国軍事基地をもっていない。あなたは何を結論する? あなたが合理的な火星人であれば、ルリタニアは多い程度に、そしてモルダビアはより少ない程度に侵略国だと推定する。

あなたの火星人的視力はまた地上の歴史書を読むこともできるとしよう。そこでルリタニアは最後の世紀に世界規模の戦争で二回戦い、ああ、そのとき大体で百の国を物理的に侵略した、とあなたは学んだ。さらに、ルリタニアが世界史上で原子力爆弾を人に使った唯一の国だった。もっと悪いことに、彼らはこの悪魔的装置を兵士にだけでなく文民にも使った。彼らは最初に自分で戦争へと陥れ追い込んだ相手から無条件降伏を勝ち取った、と。

あなたがならず者国家だと思うのは誰か? あなたが全世界への脅威だと思うのは誰か? あなたが侵略国だと思うのは誰か?

だが待ってくれ。暴力の初動とそれに対する防衛の違いが区別できないような、被害者なき犯罪の合法化を仲裁してみよう。なぜこの問題に関してはヘロインやアルコールを合法化するのか? それらの薬物を使う人は、使わない人よりも罪を犯しそうだというのは確かに正しいのに。

「明白かつ現在の危険」に携わらない人々に対しての先制攻撃の正しさを本当に信じているなら、あなたはどうやってその合法化を正当化することができる? あなたは論理的に一貫するためにきっと習慣的なドラッグを使う人全員を牢屋に投げ込むべきだろう。

ここでやめる必要もない。若い男性が人口の他の一団よりはるかに多くの暴力犯罪を働くということはいかにも起こるだろう。先制攻撃哲学の下では、たとえば彼らが15歳になったら牢屋に入れて、26になったら出るのを許すということが正当化されるだろう。したがって、もしも先制攻撃を論理的に一貫させるならば、外交政策でのみリバタリアンでいられなくなるのではなく、この領域ですらこの哲学に賛成できていない。

(出典: lewrockwell.com)

ウォルター・E・ブロック