自由の「宗教的」敵と戦って

Thomas DiLorenzo, Battling the “Religious” Enemies of Liberty, 2014/8/28, https://www.lewrockwell.com/2014/08/thomas-dilorenzo/the-religious-enemies-of-liberty/

いつだって暴君は知っている。自分は聖職者たちの中に潜入して彼らを支配するか、もしくは彼らを駆逐するかしなければならないと。暴君の心に二つの主権は決してありえないからだ。あなたの主権者がもしも神であるならば、国家の運営者は違う、終わり。神の言葉は、王君の、王子の、権力者の言葉に挑戦するのが常だった。それは潜在的には、誰かへの、あるいは誰もへの暴君の「権威」であるとされるものにとっては致命的な挑戦である。

古代の君主は「神授王権」を主張したが、それは王が言ったこととやったことは何でも神聖であるということを含意する。王に不服従をするなら、お前は神その者に不服従をしているのだ、と。この頃の聖職者はこの偽りの宗教を支持する見返りに悪銭と権力の褒美をたまわっていた。

もっと現代的な時代では、ソビエト連合は数千の祭司を単に殺害した。ミハイル・ゴルバチョフの前アドバイザーのユーリ・マルツェフと今のアメリカ市民が言ってきたとおり、世界最大の社会主義的天国で宗教に残されたわずかな遺物はКГБエージェントが祭司として置いた職員だった。これらのポチョムキン村は、ソビエト連合には共産主義下でも宗教の自由があると大嘘をつくことを許された。

アメリカ人政治家もまた権力欲に取り憑かれている点では優勢な他の人たちとあまり変わらない。なればこそ彼らは何より政治家をしているのだ。しかしアメリカの政治的暴君は決して彼ら自身の神聖さをブードゥー教みたいな理屈に頼っているわけではない。(リンカーン・カルト教信者が愛情たっぷりに「父なるエイブラハム」として知っているエイブラハム・リンカーンの神話を除けば。)また、一般的には大量殺人に及ぶことはなかった。(彼らは十九世紀にモルモン教徒を殺害したし、ニュー・イングランドは実践的ウィッチクラフトだと主張する人々に対してかつて非常に不寛容だったけれど。)代わりに、アメリカに典型的な仕方で、宗教は国家によって税法と連邦予算の道具をとおして大いに支配され去勢されるに至った。

もっとも軽い政府批判でさえ、自称「保守主義者」の牧師が声に出すことは珍しい。それだけではなく、多くの教会は政府から特別補助金を受け取るために買収されて沈黙する。たとえばカソリック・チャリティー“Catholic Charities”とルター社会サービス“Lutheran Social Service”とユダヤ連合“Jewish Federations”は彼らの収入の半分以上を政府から受け取る。ジョージ・W・ブッシュ大統領は政治的にうまい振る舞いをしていそうな教会に毎年納税者の金を数十億ドル分配する「信仰に基づいたイニシアチブ」で真の宗教的自由に致命傷を与えた。オバマはこの援助を継続しエスカレートさせてきた。

福祉戦争国家が不道徳であり――とりわけ家庭に取って――破壊的であると個人的に信じている牧師さえもが、自分の免税と援助を、かくて自分の給料と役得および共同体での辛抱を失うことを恐れて、彼らの信者たちに対してこれを話題に挙げず、するとしてもきわめて稀にしか挙げない。

しかし国家の目からすれば教会が政治化すること自体は何も「悪く」はない。あなたには牧師として国家への反対を説諭するなら免税を失うリスクがあるだけだ。たとえば連邦政府は、あらゆる左派黒人教会を、およびジェシー・ジャクソン/アル・シャープトン式の高度に政治化された趣きの伝道者の牧師を決して煩がりはしない。国家の嘘を、わけても国家の戦争を正当化するために使われる嘘を説諭することは歓迎され、しばしばあらゆる種類の「信仰に基づいた」援助で褒賞される。

モンタナ、カリスペルでのリバティ・フェローシップのチャック・ボールドウィン牧師(http://www.libertyfellowshipmontana.com/)が近頃の説教で指摘するには、お仲間の「福音主義的」キリスト教徒にグローバル戦争を説諭するために外国政府の支払いでプライベートジェット機に乗って国内を飛び回る「メガ教会」“mega-churches”の牧師すら存在する。(私は「外国政府の支払いで」“paid for by a foreign government”と単数形で言ったが、私にとってはの話だ。)

実際、ボールドウィン牧師は真実を説諭することができるように、そして彼の小さなモンタナ教会が国家に廃業させられる心配なく国家権力に真理を意見するために、彼の免税資格501©(3)を放棄してきた。(ルー・ロックウェルも同様に、ロン・ポールが大統領に立候補したときIRS[アメリカ合衆国内国歳入庁]に煩わされることなくロンについてのそしてロンが支持するものについての真実を遠慮なくすべて話せるようにルー・ロックウェル・コムの免税資格を放棄した。)

ボールドウィン牧師のウェブサイト(http://www.libertyfellowshipmontana.com/)を訪れれば、彼の説諭を聞くことができ、そしていくつかの例外とともに警察のことを国土安全保障省と米国PATRIOT法ではじめて違憲にも軍事化されてきたアメリカでの独占的軍事力と呼ぶ彼のコラムを読むことができる。共和党は「国外での対外戦争と国内での警察国家」の二つの大きな愛を抱いていると仲間の小教区民に伝える彼に耳を傾けることができる。彼はこのため共和党を賛美しない。

自分の小教区民に対してこれについて何も言わず沈黙する牧師は、ボールドウィン牧師が言うには、「あなたの首に[原注:国家の]鎖を巻きつけるのを手伝っている。」彼はボストン・マラソン爆破後の「ボストン警察のゲシュタポみたいな戦術」を非難し、軍を持つ権利の獰猛なる提唱だと非難する。彼は自分の家族を自分で守れるようにすることが人の聖書上の義務であると言う。それで彼は自動小銃を所持していないなら持ちなさいとアドバイスする。

他の似た思いの牧師が免税されていないおかげで権力に対して自由に意見できるように、チャック・ボールドウィンは、彼が「自由の教会」“Liberty Church”と呼ぶものを作るべく、上出来に数千ドルを集めてきた。彼は政府が免税資格とあなたの免税を除去することを提唱しない。彼は、権力と貨幣を辛抱のために本質的に国家に魂を売り棄ててきた「メガ教会」の国家崇拝者の牧師の挑戦に応じている。

(出典: lewrockwell.com)