- 構成:スポーツナビ
- 2017年5月24日(水) 11:00
米国フロリダ州の西海岸に位置する小さな町・ブラデントン。澄み切った青空の広がった4月中旬、テニスの名門「IMGアカデミー」に錦織圭はいた。同所は13歳からの練習拠点であり、言わば彼のテニス人生における原点でもある。
ツアーの合間、錦織は自身初のマスターズ優勝、そして悲願のグランドスラム制覇を目指して、この時期をトレーニング期間に充てていたのだ。練習を終えた錦織は、ジリジリと肌を刺す日差しを避けるように施設内のプールサイドにあるレストランへ。ここで、「スポーツナビ」の独占インタビューを受けることになっていた。
インタビュアーは、プロテニスプレーヤーで解説者としても活動する佐藤文平。4歳年下の錦織とは15年以上の付き合いで、かつてヒッティングパートナーを務めたほか、プライベートでは食事や買い物を共にするなど親交が深い。
2人が席につき、顔をつき合わせる。気心知れた同士だからこそ、“インタビュー”というあらたまった空気が、少しこそばゆいのだろう。最初の質問をわざと棒読みする佐藤に、錦織が思わず吹き出して破顔した。同時に、世界トッププレーヤーの「ケイ・ニシコリ」は、近所の好青年といったふうの、飾らない27歳の「錦織圭」へと戻っていく。
気を取り直して佐藤が再び口を開く。何気ない会話をするかのような自然な流れで、インタビューが始まった。(取材日4月12日/文中敬称略)
「1位はまだあまり見えない」
佐藤文平(以下、佐藤) 2014年に全米オープン準優勝、世界ランキングは最高4位(5月22日現在は9位)まで来たけど、この位置にいるのはどんな気持ち?
錦織圭(以下、錦織) まだまだ先は長いなと。
佐藤 4位から1位までが長いということ?
錦織 1位はまだあまり見えないですね。
佐藤 そこからの方が近いようで遠い……本当に過酷な世界だよね。
錦織 1年を通して常にマスターズで優勝しないといけないし、まだグランドスラムもマスターズも獲っていないから。
佐藤 極論だけど、トップ10から落ちてもいいから1大会マスターズやグランドスラムを獲るのと、トップ10を維持してタイトルが獲れないのと、どちらがいい? もちろんタイトルに決まっているよね。
錦織 ハハハッ。そうね、まずは獲りたいかな。
佐藤 (1月の全豪オープンを制したロジャー・)フェデラーではないけど、半年間休んで、世界ランクが17位まで落ちても実力があればタイトルが獲れるというようなこと?
錦織 うん、フェデラーはちょっと別格だけどね。
佐藤 毎週ランキングは変わるよね。たとえばトップ10にいる中での8位、7位といった変動はあまり気にしないと思うけど、実際はどう? トップ10にいることはもう難しいことではない?
錦織 今のところは。トップ10を外れたらちょっと焦り始めるかもしれないけど、(ランキングは)ほぼ気にしない。1年の最後に(ランキングの)どこにいるかだから、最後に上のほうにいられればいいかなと。