東京五輪・パラ経費 総額1兆3900億円で最終調整

東京五輪・パラ経費 総額1兆3900億円で最終調整
k10010993581_201705241821_201705241822.mp4
東京オリンピック・パラリンピックの費用について、東京都、組織委員会、政府の3者は予備費を除いて総額を1兆3900億円とし、このうち都と組織委員会がそれぞれ6000億円、政府が1500億円を負担する方向で合意したことがわかりました。残る400億円は東京都以外の自治体が負担する案が示されていますが、最終的にどこまでの負担となるか詰めの調整が行われています。
3年後の東京大会の費用負担をめぐっては、組織委員会が去年12月、最大で3000億円とする予備費を含めて、総額を1兆8000億円とする試算を公表し、経費の見直しをさらに進めるとともに、誰がどれだけ負担するのか協議が進められていました。

その結果、大会経費は予備費を除いて総額で1兆3900億円とし、このうち東京都と大会組織委員会がそれぞれ6000億円、政府が1500億円を負担する方向で合意したことがわかりました。残る400億円は、競技会場のある東京都以外の自治体が負担する案が示されていますが、最終的にどこまでの負担となるか詰めの調整が行われています。このため東京都、組織委員会、政府の3者は関係する自治体も交えた協議を今月31日に開く予定で、負担の大枠の決定に向け調整を進めています。

小池知事「大きな流れで進んでいる」

東京都の小池知事は、東京オリンピック・パラリンピックの費用負担をめぐる調整が大詰めを迎えていることについて「いま作業の詰めをしていて、文案づくりなどの作業にも入っていてかなり大きな流れで進んでいる。競技会場がある自治体との作業チームでかなり細かく積み上げをやってきた。事務方やそれぞれの県市のご努力に感謝申し上げたい」と述べました。そのうえで「これからは機運を醸成していくことが必要なので、そこにも力を入れていきたい」と述べました。

埼玉県知事「勝手に数字が出て不愉快」

東京オリンピック・パラリンピックの開催費用の負担について埼玉県の上田知事は、記者団に対し「400億円という数字は私にも事務方にも全く話が来ていないため正直、驚いている。勝手に数字だけが出る現状は仮設施設の費用負担に続いて『またか』という不愉快な気持ちだ」と述べました。そのうえで記者団が「費用負担の正式な要請もないし、合意した認識もないのか」と質問したのに対し、上田知事は「全くない。事務方にも私にもない」と述べました。

千葉県知事「負担する考えはない」

関東地方知事会議に出席したあと千葉県の森田知事は、記者団に対して、大会の運営費については負担する考えがないことを改めて示したうえで「急に負担だと言われても、『何なんだろう』という気持ちで、私たちとしては非常に困っている」と述べました。また今月31日に開かれる予定の都や組織委員会、政府に関係自治体を交えた協議会については「話があれば、もちろん極力出席するようにしたい」という考えを示しました。

神奈川県知事「当初の原理原則どおりに」

神奈川県の黒岩知事は県庁で記者団に対し、「事務方どうしでいろいろな作業をしているが、何かが決まったということはない。われわれは当初の原理原則どおりにしてくださいと言い続けていて、その回答を今月末まで待っている状況に変わりはない。31日の協議会では、納得できる返事があると信じている。また、自治体の負担分として400億円という数字が幻のように出てきて、議論されているようだが、神奈川県としては全く聞いていない数字だ」と述べました。

横浜市長「立候補ファイルの原則を踏まえる」

横浜市の林文子市長は24日の定例の記者会見で、東京オリンピック・パラリンピックの費用分担について、「関係者が一致して、連携して大会の成功を目指すべきだと考えていて、みんなで一つの協議のテーブルにつくのがとても大事だと思っている」と述べました。そのうえで、「横浜市としては立候補ファイルの原則を踏まえて調整したい」と述べ、引き続き大会の運営にかかる費用の負担を求めていく考えを示しました。

組織委員会「着地できると期待」

組織委員会の武藤事務総長は、東京オリンピック・パラリンピックの大詰めを迎えている費用分担について、「一部は合意しているが、すべて了解を得ている状態ではない。東京都の試算で、都以外の自治体が負担するとしている400億円が、そのままなのか、いくらかを都が負担するのか、私はまだわからない。都が自治体と調整して来週までにまとまるよう最大限の努力をすると聞いているので、なんとか着地できるものと期待している」と話しました。

そのうえで、都以外の自治体の負担について「オリンピックに限らず一般的な大きなイベントでも、警察による警備や輸送は、地元が自主的に対応している。その限りにおいて、各自治体に何らかの負担があることは不自然ではないと理解する。しかし、都がやることになっていたものを引き受けるにあたり、都や組織委員会が負担してくれるだろうと自治体が思うことも自然なことだ。そこが今回の協議の重要なポイントだ」と述べ、内容によっては自治体の負担が妥当だとする見解を示しました。