犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法案は5月23日、賛成多数で衆議院本会議を通過した。いったい、主要5紙はどう報じたのだろうか。BuzzFeed Newsでは、翌朝24日の朝刊1面を比較してみた。
読売新聞:「テロ準備罪 衆院通過」自公維賛成 今国会で成立へ
「成立へ」との見出しを打った1面トップの記事では、法案の内容や衆院本会議の議論をまとめ、ポイントも4点掲載した。
そのほか、「不安あおらず冷静な議論を」と呼びかけた署名記事も掲載。「テロを含む組織犯罪の防止に向けて国際連携を深めるために、テロ準備罪法案を成立」させる必要があると指摘した。
「1億総監視社会になる」「内心の自由を侵害する」という野党の反対論は「国民の不安をあお」るものだと批判。「一般人は捜査対象になり得ないと繰り返し説明してきた」との政府答弁を紹介した。
そのうえで、「具体的で冷静な議論が求められる」とまとめた。
朝日新聞:「共謀罪」衆院通過 自公維賛成、参院へ 29日審議入り 会期内成立厳しく
読売新聞と同様に1面トップ。衆院本会議のやりとりなどをまとめた記事のほか、「政府・与党が想定する今後の日程」と、国会前で開かれた反対運動の写真も掲載している。
(視点)「何が罪に」不明確なままと題した署名記事は、「警察などの捜査機関が権限を乱用し、一般市民への監視を強めるのではないか」と批判的だ。
政府答弁についても「『一般の人』とは何か」と言及し、「『何が罪に問われるかわらかない』という不気味さが残った」「『テロ防止』の効果がどの程度期待できるのか」「277もの罪が必要なのか」などと訴えた。
そのうえで、「根本的な疑問が解消されないまま、成立を許すことはできない」とまとめた。
産経新聞:テロ準備罪 衆院通過 参院審議入り 29日以降
1面トップ。朝日、読売両紙と同様に衆院本会議の内容をまとめ、「法案をめぐる経過」を表で紹介。法案に懸念を示した国連特別報告者の反論も掲載している。
反発のち容認 歴史は繰り返す? 扇動する野党・メディアとの署名記事では、法案を「『共謀罪』と呼び、『一般人の内心の自由を侵す』『1億総監視社会になる』と不安をあお」ったとして、野党批判を展開した。
さらに、日米安保条約や国連平和維持活動(PKO)協力法を引き合いに、「野党や朝日新聞が不安をあおりながら今は容認し、定着している事例は多い」と指摘。それぞれの論戦の経緯を、安全保障関連法に至るまで振り返った。
そのうえで、「今回の『共謀罪』反対も、『批判のための批判』の構図は変わっていない」と結んだ。
毎日新聞:「共謀罪」法案 衆院通過 参院審議、29日以降に
トップはイギリスの自爆テロで、法案通過は1面の2番手記事だ。本会議の討論をなぞった内容で、朝日や読売、産経のような記者の論評は掲載されていない。
法案については、「対象犯罪は677から277に削減している」と指摘。「捜査機関の乱用の懸念や『一般人も捜査対象になる』といった声がある」ことを紹介し、「自民、公明両党と維新の提案で修正が加えられた」と結んでいる。
日経新聞:「共謀罪」法案が衆院通過 29日にも参院審議入り

トップは「日通・アマゾンの中小向け輸出支援」で、毎日新聞と同様に1面の2番手。法定刑や処罰対象となる内容など、法案の内容を細かく紹介しており、記者の論評はない。
そのうえで、「国際組織犯罪防止条約に入るために同法案の成立が必要だと説明している」「東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策を強化できると強調する」との政府側の意見を紹介。
後段には「捜査機関の恣意的な捜査により冤罪が起こるリスクが払拭できない」とする野党側の意見も載せている。
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さて、ここで質問です。読みたいのは、どの新聞?
読売新聞朝日新聞産経新聞毎日新聞日経新聞
「共謀罪」への立ち位置くっきり 主要5紙はどう報じたか、比べてみた
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投票結果 投票結果読売新聞
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投票結果 投票結果毎日新聞
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投票結果 投票結果日経新聞
BuzzFeed Newsは森友学園問題に関する初期の報道について【「マスコミが報じない」は本当? 神道小学校めぐる疑惑、各紙の報道状況を調べてみた】という記事で比較しています。
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