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2017-05-24

ラノベとキャラノベの断絶

ライトノベルレーベルから出るライトノベルに対し、「ラノベっぽくない」という感想が散見される作品群があります。


書店側でも、あえてラノベを文芸コーナーに置くところも存在しております。

現在『君の名は。』『君の膵臓を食べたい』のヒットにより青春恋愛もののブームが巻き起こっており、そういったものはラノベでもキャラノベでも出ています。

が、そういうものを書くラノベ作家がキャラノベに移動したりこうした作品がキャラノベリバイバルされるということは少ないです。

ラノベとキャラノベは繋がっているように見えて、実は断絶しているのではないでしょうか?

まず理由として考えられるのが、(少女小説を含まない)ライトノベル→男性向けでキャラノベ→女性向けというイメージが付いてしまったということです。

ライトノベル作家の越境の流れを汲んでいたキャラノベは「一般文芸のラノベ色の強い作家(似鳥鶏青柳碧人など)」「キャラノベレーベルデビューの作家(野崎まど綾崎隼など)」「ネット小説発の作家(太田紫織住野よるなど)」が参入し、ライトノベル一般文芸を繋ぐものからそれ一つのジャンルに独立しました。

そして、ラノベから独立したキャラノベが発掘した読者層は、コージーミステリを好む女性層でした。

そのせいでメディアワークス文庫などが当初構想していた「ライトノベル一般文芸」「一般文芸→ライトノベル」という導線は上手く機能せず、一般文芸側の作家の流入やキャラノベネイティブの作家によってキャラノベライトノベルの客層が分離してしまった。

そのために男性向けキャラノベ・女性向けライトノベルが少なく、そういった作品は「マニア向け」にならざるを得ない状況になっています。

青春恋愛ものは確かに「君の名は。」を機にしてキャラノベラノベで同時に流行ったが、ファミ通恋愛枠など先にライトノベルにそういう流れがあったため、いかに作風が一般文芸的だと評されようともラノベ内だけで消費されているのではないでしょうか。

ただし、ファミ通恋愛枠から独立したキャラノベレーベル?のファミ通文庫ネクストや、チャレンジングな作品を多く出す講談社タイガオレンジ文庫など「壁」を越境しようとする動きは今後活発になっていくことも予想されます。

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