「清家展」の開催にあたって 文学部教授 佐藤 道生
清原家(縮めて清家と呼ばれる)は、明経道の博士家として平安時代から江戸時代末まで永らく続いた名門の家系である。明経道は本来、中国の儒教経典を学問の対象とする大学寮の一部門だが、清原家は時代と共にその専門領域を拡げることに努め、中国・日本の別を問わず治国経世に資するものであれば、どのような書籍でも考究の対象とした。こうした学問に対する積極性こそが清原家をして長きに亙って名門たらしめた要因であろう。
その清原家の旧蔵書は現在、京都大学附属図書館に「清家文庫」と名づけて保管されている。清原家の学問を知る上で、この「清家文庫」蔵書が根幹を為すが、実は京大図書館以外にも清家に関わる貴重な資料が数多く現存している。それらは「清家文庫」蔵書を補完するだけでなく、清家の学問を理解する上で欠かすことの出来ないものである。
本塾図書館はとりわけ室町時代の清家を知る上で重要な書籍を所蔵している。このたび文学部国文学専攻では「清家展――清原家の学問」と題して、図書館に所蔵される清原家関係の資料を展示することにした。これを通して清家の学問を知ってもらう機縁となれば幸いである。