トランプ米大統領、パレスチナ自治政府議長と会談 

トランプ米大統領(左)とアッバス・パレスチナ自治政府議長(23日、ヨルダン川西岸ベツレヘム) Image copyright AFP
Image caption トランプ米大統領(左)とアッバス・パレスチナ自治政府議長(23日、ヨルダン川西岸ベツレヘム)

就任後初の外遊で中東歴訪中のドナルド・トランプ米大統領は23日、イスラエルとパレスチナの和平実現のため「できることは何でもする」と表明した。2日間の中東訪問最終日にヨルダン川西岸地区のベツレヘムを訪れた大統領は、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長と会談して発言した。

アッバス議長との会談でトランプ氏は、議長がテロと戦う姿勢を示しているのはありがたいと述べた。

イスラエルとパレスチナは3年以上、直接協議をしていない。実業家として取引をまとめるのが得意だと自認してきたトランプ氏は、こうした状況について「一番難しい取引のひとつだ」と認めていた。

トランプ氏はこれに先立ち、イスラエルを訪れてネタニヤフ首相と会談し、両国の結びつきを強調した。

ヨルダン川西岸やガザ地区では、多くのパレスチナ人がトランプ氏の訪問に抗議した。

「崇高な使命」

トランプ氏はアッバス議長との共同記者会見で、「希望の精神」でベツレヘムを訪れたと述べ、「イスラエルとパレスチナの人たちの間で、ぜひとも和平合意を実現したい。その目標実現に向けて、自分にできることは何でもする」と強調。「持続的平和のため、両首脳と協力し合うのを楽しみにしている」と表明した。

トランプ氏は、アッバス議長が和平実現向けて誠意をもって取り組む用意があると約束してくれたと述べた。

これに対してアッバス氏は、トランプ氏の「崇高で実現可能な使命」を歓迎し、和平実現のための旅を共にする用意があると話した。

記者会見でトランプ氏は、中東の話題に先駆けて、英マンチェスターでの爆弾攻撃に言及。「美しく、罪のない多くの若者が、生きて自分の生活を楽しんでいたのに、あまりに大勢が、凶悪な人生の負け犬たちに殺されてしまった」と非難した。

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Image caption トランプ米大統領の訪問を前にヨルダン川西岸で抗議行動が相次いだ。写真はイスラエル軍に投石する若者(22日、カランディア検問所)

トランプ氏のパレスチナ訪問を前に22日には、ヨルダン川西岸各地のイスラエル軍検問所で、若者数百人が抗議行動に出た。

米大統領の訪問だけでなく、イスラエルの刑務所内の待遇に抗議する若者たちは、イスラエル軍の部隊に投石。イスラエル兵たちは催涙ガスやゴム弾で応戦した。エルサレム近くのカランディア検問所では少なくとも1人が負傷した。

ガザ地区では、パレスチナ人たちがトランプ氏の写真を踏みつけた。ロイター通信によると、トランプ氏の人形を燃やす集団もあったという。

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Image caption ガザ地区の一部のパレスチナ人はトランプ氏の訪問に抗議した(22日)

イスラエルの刑務所の待遇に抗議するため、パレスチナの囚人組織は23日を「怒りの日」にすると表明。何百人ものパレスチナ人が4月17日以降、刑務所でハンガーストライキに入っている。

活動家たちは訪問するトランプ氏に抗議の横断幕を掲げ、ハンストについて知らせようとしている。

本国ではロシア疑惑をめぐり野党・民主党などから強く非難されている大統領は22日、イスラエルのネタニヤフ首相と共に報道陣の前に立った際、ロシア外相との会談で機密情報を明らかにした時には「『イスラエル』とは特に言っていない」 と発言した。

ロシアに話した機密がイスラエルに提供されたものではないかという報道はこれまでもあったが、トランプ氏自身がラブロフ外相に「イスラエルからの情報」だと伝えたとは言われていなかった。

欧州訪問の日程

トランプ大統領はイスラエル訪問後、ローマでカトリック教会のフランシスコ法王と面会する予定。その後、ブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加するほか、イタリア・シチリアで26、27日に開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)に参加する。

Image caption トランプ大統領初外遊の訪問先。1-リヤド(20~21日)、2-テルアビブ、エルサレム、ヨルダン川西岸(22~23日)、3-ローマ(24日)、4-ブリュッセル(25日)、5-シチリア(26日)

(英語記事 Trump meets Palestinian leader Abbas in West Bank

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