韓国の朴前大統領の公判始まる
韓国の財閥サムスンを含む大手企業からの収賄などの罪で起訴された朴槿恵(パク・クネ)前大統領の初公判が23日、ソウル中央地裁で開かれた。
3月の逮捕以来初めて公の場に姿を表した朴被告は、地裁建物前で手錠をかけられた状態で車を降りた。
収賄のほか、国家権力の乱用、国家機密の漏洩の罪で起訴されている朴被告は起訴内容を否認している。
前大統領の弁護団は、「自分で使うことのできない寄付金を、大統領が企業に強要するなど、理屈に合わない」と主張した。
朴被告は親しい友人の崔順実(チェ・スンシル)被告と共謀し、政治的利益を提供する代わりにサムスンを含む韓国の最大手企業から資金をゆすり取っていた疑いがかけられている。
朴被告の罪状は計18件。韓国メディアによると、訴状は12万ページにも上る。
朴被告は、今年3月に憲法裁判所が弾劾訴追を妥当と判断したことを受けて失職した。
朴被告の初公判には崔被告も出廷した。
韓国で最も重い刑は終身刑。
朴被告は、収賄や権力乱用、強要、政府機密情報の漏洩など合計18の罪で起訴されている。
現地メディアによると、罪状についての資料は約12万ページに及ぶという。
崔被告は朴被告とのつながりを利用して、大手企業に自らが運営する財団に献金するよう圧力をかけたとされる。
検察は朴被告が崔被告と共謀し、2人で数千万ドル規模の資金を得たと主張している。
朴被告は、崔被告に大統領としての職務に関与させ、政府の機密情報を漏らした疑いがかけられている。また、政府批判を理由にメディア関係者のブラックリストを作成し、公的支援を与えないようにしていたとされる。
憲法裁判所の李貞美(イ・ジョンミ)裁判官は、大統領罷免の判断を3月に下した際に、朴氏の行動によって「民主主義と法の支配(中略)の精神が大きく損なわれた」と述べていた。
汚職疑惑で裁判にかけられた大統領は朴被告で3人目だが、民主的に選ばれた大統領としては初めて。
1990年代の過去2回の汚職裁判では、軍事独裁政権の指導者が有罪判決によって禁錮刑を受けた。
朴被告の初公判は過去の汚職裁判が行われたのと同じ法廷で開かれた。
今回の汚職疑惑をめぐっては数十人が捜査対象となり、複数が逮捕されたが、全員が無罪を主張している。
崔被告も無罪を主張しているものの、裁判は昨年12月から続いている。大学入学で不正に優遇されたといわれる崔被告の娘、チョン・ユラ容疑者は今年1月にデンマークで逮捕された。
サムスン・グループの実質的なトップ、サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)被告と同社幹部4人に対しては、賛否のあった合併案件で政治的な後ろ盾を得る見返りに多額の賄賂を朴被告と崔被告に送った疑いがかけられている。
合併会社の株を所有していた国民年金公団(NPS)を所管する保健福祉相だった文亨杓(ムン・ヒョンピョ)被告と、NPSの運用本部長だった洪完善(ホン・ワンソン)被告の公判も進められている。
先週には、2人の美容外科医が朴被告への施術に関する偽証で有罪判決を受けた。2人のうち1人は、外見に気を遣う朴被告に人間の胎盤から抽出した成分を注射していた。
朴被告の罷免に伴い今月9日に実施された選挙の結果、2012年の大統領選で朴被告のライバル候補だった文在寅(ムン・ジェイン)氏が大統領に就任した。
(英語記事 Park Geun-hye: S Korea trial of impeached president begins)