アシカが海からとび出し、桟橋にいた少女の服をくわえて水中に引っ張り込んだ動画が話題になっている。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州で撮影され、5月20日に投稿されたものだ。(参考記事:「【動画】ザトウクジラが桟橋前で大口開け食事 」)
動画を見ると、桟橋には少女の他にも人がおり、その多くが海にいるアシカに餌を投げ与えている。見物人が海へ近づくと、アシカも人がいる方へ近寄っていく。
餌をねだるつもりなのか、アシカが水中からジャンプしてみせた。その後少女が桟橋の端に腰をおろすと、アシカはもう1度ジャンプ、少女を海へ引っ張り込んだ。アシカは水中に姿を消し、少女の祖父がすぐさま飛びこんで孫を引き上げた。
このアシカは、カリフォルニアアシカと見られる。ブリティッシュ・コロンビア州に生息し、大きなものは体長2メートル、体重350キロにも達する。同じくこの地域でよく見られるアシカ科のトドになると、この大きさを上回る。
カリフォルニアアシカは、主に魚やイカ、甲殻類といった小さな動物を好んで食べる。今回、アシカが桟橋に向かってジャンプしたのは、子供を食べようとしたのではなく、餌がもっと欲しかったためと考えられる。(参考記事:「【動画】ダイビングでトドの群れにもみくちゃに!」)
好奇心が強い動物
アシカは好奇心が旺盛だ。自分たちの繁殖地をダイバーが潜っているのに気がつくと、そのまわりを泳ぎだす。しかし、どう猛なところはなく、人間に近づくのも攻撃するためではない。
ただ、今回のアシカに悪意がなかったにしても、少女が大けがをした可能性はある。野生動物に餌を与える行為は大きな危険を伴い、動物に対しても長期的な影響を与えかねない。(参考記事:「藻類の毒でアシカに記憶障害、大量漂着の原因か」)
米国のフロリダ・サメ研究プログラムを率いるジョージ・バージェス氏が以前のインタビューで語ったように、動物への餌やりは「人間と餌とを直結し、人間を見れば餌が簡単に手に入る」と教えることになってしまうのだ。(参考記事:「太平洋 不吉な熱い波」)