長時間労働をやめれば成果は上がる
- カテゴリー:
- SKILL
Inc.:ビジネスの目標をすべて達成できるとして、しかもそのために多くの時間を割く必要がないとしたら、あなたはそのチャンスに飛びつきますか?
大半の人が、Yesと言うでしょう。でも実際は、多くの起業家が反対のことをしているのが現状です。
がんばることの重要性を語る人や、長時間労働を自慢する人はたくさんいます。
ビジネス界では、「常にがんばる」「死ぬまで眠らない」「休んでいる間にハングリーな奴にクライアントを盗まれる」という概念があり、誰もが少し被害妄想的になってしまうのです。
私自身、そういうサイクルに陥ることがあります。
昨年私は、起きている時間を自分がどのように使っているかを可視化するため、データを取得して時間を追跡しました。労働時間が8時間だった日は、罪悪感を感じたのを覚えています。起業後、事業を拡大しているところだったので、もっと働かなければならなかったのではないかと後悔していたのです。
でも、考えを改めました。というのも、データを眺めていて、働き過ぎは百害あって一利なしであることに気がついたからです。
慢性的な長時間労働がもたらすもの
長時間労働は何の役にも立ちません。働き過ぎれば、アプトプットの質が下がるだけです。
多くの研究で示されているように、慢性的な働き過ぎはストレスのもとであり、数々の健康上の問題を引き起こします。あるメタ解析によると、常に労働時間が長い人は深酒をする傾向があるそうです。
別の研究で、働き過ぎると人とのコミュニケーション能力が損なわれることも知られています。コミュニケーションが重要でない仕事はほとんどないはずです。
さらに、疲れているとミスをしたり誤った判断をしやすいことも知られています。慢性的な長時間労働は、疲れの原因です。
また、がんばり過ぎると、大局的に物事とらえることができなくなり、些細なことにこだわり過ぎて、仕事が進まなくなる可能性が高まるとも言われています。
それだけではありません。週に80時間働いている部下とそうでない部下の違いを上司が見分けられないという研究まであるのです。
これだけ豊富なデータがあるのに、まだ長時間労働を続けますか? もっと健康的に、働く時間を減らして人生を楽しみませんか?
毎日がんばる代わりに何をするか
影響力の大きい活動に集中しましょう。
投じた時間とリソースに対して最大の見返りが得られる戦略や戦術に、エネルギーを注ぐのです。
きっかけが必要ですか?
まずは、仕事に制限を設けることです。毎週の標準労働時間を決めてください。ある研究で、週に50時間以上働いてもメリットがないことが示されています。ですから、50時間以下に抑えましょう。
そこから逆算していけばいいのです。
ビジネスを進めるために重要なことは何ですか? 重要度の高いものをリストに書き出し、そのために必要な時間を書き加えてみてください。そして、そのための時間を確保します。
そうすることで、ビジネスの目標を達成するために必要なことが明らかになります。そして、見返りの大きい活動に集中できるようになるのです。
このように、限られた時間で達成する必要があることに集中すれば、生産性も高まります。
「Enchanting Marketing」の創設者、Henneke Duistermaatさんは、コピーライターであり、マーケターでもあります。彼女は自称ワーカホリックで、会社員時代からそれに気づいていたそうですが、起業してからもそのままの働き方を続けたそうです。
しかしその後、健康上の理由から、彼女は長時間働けなくなってしまいました。そして彼女は初めて、本当のことを知ります。限られたスケジュールの中では、生産性こそ大切なのだと。
それが私の人生すべてを変えてしまったと言っても過言ではありません。なぜなら、私の仕事へのアプローチは間違っていたと気がついたからです。働く時間が短くなっても、焦点を絞って集中して取り組めば、すばらしい成果を上げられるのです。おそらく今の私は、週に25時間でかつての50~60時間分より多くの仕事をこなしていると思います。
起業は自由の約束をもたらします。しかし、ずっと働いていては、なかなかその自由を実感できません。
常にがんばっていなければならない状況から脱しましょう。それは、とても生産的とは言えません。それよりも、持てる時間の範囲内で、最も重要なタスクに絞って取り組むようにしましょう。その結果、仕事の時間が減っても、成果が上がり、そのうえ人生を楽しめるようになるはずです。
I Tracked My Productivity for a Week. Here Are the Habits That Changed | Inc.
Sonia Thompson(訳:堀込泰三)
Photo by Shutterstock.