帝 国 家 畜 団
2002.バレンタインスペシャル
(これはびっくり!一年越しの企画だぜ!)
ダスル様リクエスト



〜カンナちゃんのバナナ白書ー7-3〜

再会 〜紅蘭編 2 〜

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「・・・あ・・あぁ・・こ、紅蘭さん・・これは・・いったい?」

自身の困惑を証明するかのようにスミレの唇がピクピクと痙攣する!
無理もない、苦楽を共にし共に戦った仲間が首だけの姿で彼女に助けを請うているのだ!


「た・・すけて・・・たすけ・・て・・」

しかし、スミレの問いに答える者はいない。
ツバキの手に支えられた紅蘭の生首は滂沱たる涙を流しながら
針がとんだレコゥドプレイヤァのごとく同じ言葉を繰り返すばかり。


「た・・すけて・・・たすけ・・て・・」


「た・・すけて・・・たすけ・・て・・」

固まったこの場の空気を再び動かしたのはツバキであった。


「びっくりしたぁ?スミレ豚さん!」


「こんなになっちゃって生きてる人間なんていませんよねぇ!」


「そう!紅蘭ちゃんは人間じゃないんです!」
「かといって、人間やめて家畜になっちゃったスミレ豚さんとも違います!」
「だってぇ!コイツは生き物ですらないんですよぉ!」



「紅蘭ちゃんは・・・・」


ロボットになっちゃったんですぅ!」


「な・・・・!!」

スミレの口から驚愕の声が漏れる!


「この前の最終決戦でぇ、あんた達が全滅しちゃったときぃ・・
紅蘭ちゃんは
瀕死の重傷を負っちゃったんですぅ!」


「そのまま、放っておいてもよかったんですけど、死んじゃったら
もう、イジメられ無くなっちゃいますよねぇ!


「それでねぇ!ミロク様が紅蘭ちゃんに新しいカラダをお与えくださったんですよぉ」


「紅蘭ちゃんが大好きな機械のカラダをね!」


「な・・・なんと・・無惨な・・・」

スミレは変わり果てたかつての同僚のあまりにも無惨な運命に絶句した。


「・・カ・ラダ・・返して・・うちのカラ・・ダ・・返し・・て・・」


「すぐに返してあげますようっ!」


「さぁっ!スミレ豚さん!お友達の晴れ姿!ようく見ていてくださいね!」

これから何が始まるというのか!?
スミレが思わず身を固くする。


「い・・いやや・・・やめ・・やめて・・」


「超変態露出ロボ!紅蘭一号!
スクランブルですぅっ!」

ツバキが紅蘭の首を抱えたまま、左手に嵌めた腕時計型のリモコンに向かって絶叫した!


「うぎゃあああああああっ!」

紅蘭の首が身も世もない悲鳴を上げる!

そして突然!部屋中に不気味な振動音が鳴り響く!
.
ガタガタガタッ!ガタガタガタッ!ガタガタガタッ!

スミレは背後からあがった激しい物音に振り返った!
壁沿いの木箱が激しく揺れ動いている!
地震ではない!木箱の中に入っている何かが内側から箱を動かしているのだ!


「ひぃ〜〜〜っ!ひぃ〜〜〜っ!ひぃ〜〜〜っ!」


「か・・堪忍っ!堪忍してやぁっ!」

ツバキの腕の中で紅蘭が泣き叫ぶ!


「発進〜〜〜〜っ!」

ベキベキベキッ!

ツバキの声と同時に木箱が内側から破られた!
そして、ついに箱の中の物体がスミレの瞳に映る!


ベキベキベキッ!バリンッ!


「!!!!!」

なんと、釘で留められた木箱の蓋をぶち破って勢いよく飛び出してきたそれは
バラバラに分解された人体のパーツ!

腕!足!尻!胸!
おそらく魔道によって動かされているのであろうそれらのパーツは
スミレの目の前の空中に集まり、ぷかぷかと浮かんでいる!


「・・・・!」

スミレは驚きのあまり声も出せぬ


「ほらっ!お待ちかねのカラダですようっ!」
「とっとと取りに行って下さいようっ!」


ツバキはそう言うと持っていた紅蘭の首を空中に放り投げた!


「うひぃいいいいいいいっ!」

クルクルと回転しながら紅蘭の首が宙を飛び、バラバラになった
自分の体の前の空間で停止した!


「・・・・・・・・・・・」

スミレの顔の目と鼻の先で悪夢のような光景が広がっている。
帝劇の誇る天才エンジニアの体が、波間に漂う人形のように
何もない空間でプカプカと浮いているのだ!


「・・・・・・・・・・・」

二人の正義のヒロインがお互いをみつめる!
なんと陰惨な再会劇であろうか!
スミレは変わり果てた紅蘭の姿に掛ける言葉すら見付からない。


「さぁっ!いよいよ合体ですよぅっ!」


「紅蘭ロボ!!ビルドア〜〜〜ップ!」


「あわわわわわっ!」


「ひぎぃっ!」

ジャコン!

紅蘭のジョイント部が音を立てて伸びた!
そして、頭を除く他の部分にプラズマが走る!

バチバチバチツ!バチバチバチツ!

バチバチバチツ!バチバチバチツ!


「ひやああああああっ!

ジャキンッ!ジャキンッ!

手が、足が、胴体が次々とジョイントされていく!
そして、ツバキの声が情けない人体パズルの完成を宣言する!


「パイルダ〜〜〜〜オン!」


「ほよよっ!ほよよよよっ!」

ガチョンッ!

音を立てて紅蘭の頭部がジョイントされた!
あらかじめプログラムされているのだろう
合体した紅蘭ロボが大股開きで派手なガッツポーズを決める!


「チェンジ紅蘭〜〜ワンッ!!!」


「うふふっ!やっぱりロボットは合体できなくちゃねぇ!」


「ほらっ!紅蘭ちゃん!お仲間に自慢してくださいよぅっ!」


「ほらあっ!」


「!」

紅蘭の顔が一瞬くしゃくしゃに歪み、泣き笑いの表情を造る!

おそらく、ツバキにあらかじめ因果を含まされていたのであろう・・


「み・・見てみぃやっ!」


「こ、こ、こ・・・・」


「これが科学の力やぁっ!」

涙がポロポロと紅蘭の頬を伝う・・


「こ、紅蘭さんっ!」

かつての颯爽とした天才エンジニアの惨めな姿に
スミレが感極まって泣き崩れる!

しかし、そんな二人の麗人の様子などお構いなしに
可愛らしい加虐者が次のイベントの段取りを始めた。


「さ!スミレ豚さん!中庭に戻りますようっ!」


超変態露出ロボ、紅蘭一号の機能は
こんな狭い場所じゃ発揮できませんからねぇっ!」



「キャハハハハハハハッ!」

コロコロとけたたましい笑い声が道具部屋に響きわたる!
紅蘭の受難は始まったばかりである。




再会〜紅蘭編 3 〜に続く

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