NNNドキュメント「戦争のはじまり ~重慶爆撃は何を招いたか」 は、中国の反日プロパガンダに完全に迎合する内容であり、本多勝一「中国の旅」を彷彿とさせる代物だった。前編『なぜ今、日テレは「重慶爆撃」を特集したのか?』に続く後編。

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1.ストーリー

 番組製作者・清水潔の論理展開は極めて単純で、東京大空襲と重慶爆撃を対比させ、「日本が重慶を爆撃したから、日本本土も爆撃され、原爆まで投下された。因果応報だ」「日本は被害者意識を持っているが、加害者だということを認識しろ」という、古臭い反戦説法である。そのナビゲーター役として、自称「軍事ジャーナリスト」の前田哲男が登場。重慶爆撃が世界初の「戦略爆撃」「無差別爆撃」だったと解説する。だが、前田は学者であると同時に、旧社会党のブレーンだった人物。安保法制反対デモに参加していた活動家でもある。左翼が中国の被害者ナショナリズムに便乗して、歴史問題で日本を叩く、といういつも構図を再現しているに過ぎない。

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出典:「戦争法案反対国会前集会」
https://www.youtube.com/watch?v=rVyJ5eiSgvw

 その後は、重慶爆撃の被害を縷々説明し、恰もあの爆撃が原因でアメリカがハル・ノートをつきつけたかのような誤解を招く単純化をやらかして、真珠湾攻撃→東京大空襲→原爆投下→敗戦へと話を強引に持っていく。

 番組の最後では、東京大空襲の日本人被害者と、重慶爆撃の中国人被害者が、日本政府に対し謝罪と賠償を求めるも、認められていない現状を語り、日本人も中国人も共に被害者、悪いのは日本政府と印象操作する。そもそも東京大空襲の被害者が、大量虐殺を行ったアメリカではなく日本政府に賠償請求しているのは、被害者を騙った左翼活動家が主導しているからこそ。中国人の賠償請求が認められないのは、日中国交正常化において、相互に賠償請求を放棄しているからで、そんな歴史的事実も説明せず、感情に訴える様な解説を加えることは、未来志向の日中関係構築にとって害悪以外の何ものでもない。

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 そして最後にこんなセリフ。「私達が時に振り返る戦争の終焉。しかし、本当に大切なことは、その始まりを知ることなのかもしれません」。これは正しい。始まりの状況にこそ、戦争原因が凝縮している。問題は、番組制作者の清水潔が南京事件、重慶爆撃など、日中戦争を描きながら、その始まりとなった第二次上海事変を全く描こうとしないことにある。

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2.「日中戦争のはじまり」は、中華民国軍の先制攻撃だった!

 南京大虐殺を世界中に喧伝し、被害者アピールをし続ける中国政府にとって、一番都合が悪いのは、日中全面戦争が、中華民国軍の上海・日本人街への先制攻撃によって始められた事実である。当時の上海は、英米仏日など外国勢力による共同統治下にあった。日本政府は上海に居住する多くの日本人住民を救うべく派兵を決断。渡洋爆撃で中国軍を牽制するなどして上海の防衛に成功する。だが、そのまま蒋介石を放置していては、またいつか、上海に攻撃を仕掛けるのは間違いないので、首都・南京攻略を決断し、逃げた蒋介石を追って、重慶爆撃を敢行する。

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 清水の番組では、その「戦争のはじまり」の経緯が全て有耶無耶に誤魔化されている。蒋介石の了解も得ずに先制攻撃を仕掛けた張治中将軍は、中国共産党やソ連のスパイ説がある謎の人物で、国共内戦の最終局面で中国共産党側に寝返っている。こうした歴史の闇にスポットライトを当てる番組こそ、真に見る価値のあるドキュメンタリーと言えるが、日本の学者もメディアも、中国政府の逆鱗に触れることを恐れて、決してそんな番組を作りはしない。中国駐在の記者が嫌がらせをされるのは必定。今まで通り日本を悪者にする番組を作る方が、楽だし、安全だし、賞を獲り易いのが実態なのである。

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 当時、中華民国軍はナチス・ドイツから軍事顧問を受け入れており、ゼークト将軍が築いたゼークトラインの存在が第二次上海事変を第一次の時より遥かに困難にした最大の要因だったが、こうした事実も日本のメディアは決して報じない。ナチスは絶対悪の強烈なイメージを持っており、日独伊三国軍事同盟を結んだが故に、日本も絶対悪のレッテルを貼られ易い。一方、中国は「被害者」の衣を被って日本を糾弾することを国是としているので、ナチス・ドイツの軍事指導を受けながら日本に先制攻撃したという事実は、都合が悪いのである。日本のメディアは、中国様がお困りになることは、決して報じない。

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3.清水潔が描かない重慶空中戦

 重慶爆撃で忘れてはならないのは、あの戦闘でゼロ戦がデビューを果たしたことにある。ソ連から購入した戦闘機を使っていた中華民国空軍は、ゼロ戦に全く歯が立たず、迎撃せずに逃げ惑うようになる。真珠湾攻撃後は、米国義勇軍のフライング・タイガーが参戦し、ゼロ戦と死闘を繰り広げることになるが、清水の番組には全く登場しない。中国人、アメリカ人向けのプロパガンダ映画では、米中協力の輝かしい象徴として、華々しく描かれるフライング・タイガーであるが、日本人向けの番組でそれを描くと、真珠湾攻撃前にアメリカが日本に宣戦布告なき秘密戦争をしかけようとしていた決定的証拠として逆手に取られる恐れがあるからだろう。

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4.日中、日韓の未来志向の関係構築を邪魔し続ける日本のメディア
 
 あの戦争から学ぶことは多いが、「戦争という過ちを繰り返さない為」と称して、ただ只管、「日本人が100%悪かった、加害者です、だからずっと謝罪します、9条を守り続けます」と単純に結論づけ、洗脳し続けることが正しい道なのか否か、検証するべき時期に来ていると思う。日本人が謝罪し続けてきた結果、中国人、韓国人は日本人を侮り、ナショナリズム発揚に日本への謝罪要求を繰り返すモンスター被害者に変貌してしまった。無暗に謝ることは、寧ろ未来志向の良好な関係を構築する機会を阻害し、対立を深める原因になっている事実を直視すべきであろう。

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 戦争は殺し合いだから、捕虜虐殺も、無差別爆撃も、レイプや犯罪も、当然起こりうる。それは、米軍も中国軍も同じである。日本のテレビ局が近代史のドキュメンタリーを作る場合、只管、日本が悪いことをした部分だけを重箱の隅をつつくように探しだし、顕微鏡で拡大する様な番組ばかり作っているのが実態である。遂にネタが切れて、記憶や証言を過剰に脚色する「生き証人」に頼り切った結果が、吉田証言の捏造報道に繋がった。メディアはあんな苦い経験をしたにも拘わらず、未だに清水潔や境一敬のようなジャーナリストが旧態依然とした反日番組を垂れ流している嘆かわしい状況にある。

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 日テレは日頃、安倍政権に迎合しているくせに、NNNドキュメントだけは、誰も見てない真夜中にこっそりと反日番組を流し、ほとんど視聴率を稼げていないにも拘わらず、視聴者無視のギャラクシー賞などを総なめにしてしまう。まるで、メディア村の内輪だけで繰り広げるマスターベーションのようなものであり、完全に国民をバカにしているとしか思えない。そんなドキュメンタリーでも、一部の左翼活動家は大喜びして喝采するだろうが、彼らはそれを反政府運動や中韓の反日を煽るのに利用するだけ。そんな番組を作り続けていれば、日中関係も日韓関係も悪化する一方である。

 ジャーナリストは賞のために仕事をしているわけではなかろう。読者、視聴者をうならせて初めて、いい仕事をしたと実感できるもの。プロフィールにズラズラと受賞歴を書くようなジャーナリストは、反権力を気取りながらも、戦勝国史観や戦後レジームに迎合しているだけのクズだと自覚すべきである。


【注】
著作権法第32条に基づき、報道、批評、研究の目的のため、NNNドキュメント「戦争のはじまり ~重慶爆撃は何を招いたか」などから画像キャプチャーを引用しました。








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